昔、自分が大学病院勤務時代、救急隊員の指導や現場で行われた救命士の処置内容の事後検証を担当していたことがある。彼らは救急救助のプロである。プロにもかかわらず時折見られたのが、「心停止が確認されたが、衆人環視の現場だったので心肺蘇生をせず救急車内収容を優先させた」などという処置内容が時折見られた。これらは全部NGであり指導対象となる。彼らプロであっても現場で誤解していた時期があったのである。前述のように心肺蘇生着手が遅れただけで助かるはずの命が救えないこともあるのである。そこで現場から救急車へ収容する最中でも心肺蘇生をおこないつつ周囲からブルーシートで遮蔽しながら移動すればいいのである。そのような指導を徹底したらそれがスタンダードになった。当然であるが救命に優先されるプライバシーはないのである。でもプライバシーを考慮するなら同時平行で工夫してやってみればいい。今は昔である。