吉田クリニック 院長のドタバタ日記

日頃の診療にまつわることや、お知らせ、そして世の中の出来事について思うところ書いています。診療日には毎日更新しています。

差別用語 その2

2017年10月19日 06時32分02秒 | 日記
 さてその当時(昭和20年後半)の医師会雑誌の診療こぼれ話などを読んでみると、今では違和感を覚える様な用語が使われている。それは医学用語に限らず、通常、今では使ってはいけないような語句が出てくるのである。あまり強烈ではない用語を一つ例にあげれば、
「・・・時々受診してくる近所の『低能児』がヘラヘラと笑いながら、着物の帯はほとんど解けてはだけた状態で自分に近づいてきた・・・」などという一節があった。

 今なら「精神発達遅滞」とか表現するのであろう。でも当時ではこの表現が当たり前であり、だれも違和感を覚えなかったのであろう。もちろんその文章をすべて読めば、その筆者(医師)がその『低能児』をまったく侮蔑していないことは明らかなのである。その医師は区議会選挙に出るために立会演説会で演説していたら、その『低能児』がその医師を見かけた顔だと思ったのか近寄ってきたので、演説の邪魔になるため「向こうへ行け!」と怒鳴りながら追い払ったというのだ。そしてその医師は、追い払ったことをものすごく「悪いことをした」と後悔しているので、その彼を微塵にも侮蔑していないと分かるのである。

 でもこれを今の世の中の人が読んだらどうなるのであろうか?