吉田クリニック 院長のドタバタ日記

日頃の診療にまつわることや、お知らせ、そして世の中の出来事について思うところ書いています。診療日には毎日更新しています。

差別用語 その4

2017年10月21日 06時03分12秒 | 日記
 人を思いやる気持ちとか、助け合いだとかの気持ちは大事である。でも差別をなくしましょう・・という人間の精神病理に踏み込んだ話とは別問題なのである。人がどう考えてしまうのかということについてであるが、差別するということが心の中にも出てこないようにさせる・・というのは無理である。人がどう思うかは人それぞれなのである。
 なので表面上、分裂病が統合失調症にかわり、痴呆症が認知症に変わってもそれはただの表面的な用語変更にすぎず、いずれはそのかわった用語も数十年後には「立派な」差別用語になってしまう可能性が高いのである。根底に差別の気持ちが残り続ける限り、どうやら用語のみが定期的に置き換えられるだけのような気がするのである。

 この前、TVバラエティで保毛男(ほもお)(つまり「ホモの男」)という言葉を使ったら差別用語であると抗議があり番組が謝罪していた。でもいつから「ホモ」が差別用語になったのかも知らないし、今では何といったらよいのか?・・ゲイ? 男性同性愛者? ニューハーフ? オネエ? まったく分からなくなった。でもこれら現行で使用可の言葉も結局、将来「差別用語」になるんじゃないかと思うのであるが。

 今回、昭和30年ころの医師会雑誌でみた『低能児』という医学用語(一般用語だったかもしれないが)、それをみてなんとなく違和感を覚えたのが今回、本項執筆の動機である。あの用語を使った人(医師)には「差別」の意識は全くないことはすでに述べた。でもいつの日か誰かがそれを差別用語だといって使わなくしたのである。 「痴呆」や「分裂病」も医学書に記載されていたのであるから差別用語ではなかったはずである。これもいつの間にか差別用語に仕立て上げたのは、医師ではなく・・・う~ん誰なんだろうか?