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心に映りゆくよしなしごと書きとめどころ

大垣との縁と映画「隠された日記 母たち、娘たち」<2>

2010-11-13 00:06:18 | 映画評論
 前回、なんだか思わせぶりは終わり方をしてしまったのは、書き始めるとついダラダラッとした文章になる悪癖のせいと深く反省している。

 さて、映画の方であるが、娘と母、祖母の三代にわたる女性の物語である。
 監督はジュリー・ロペス=クルヴァル・・・と偉そうに書いたが、この監督についてはよく知らない。たぶん、その映画を観るのはこれが初めてだと思う。
 主人公と思われる娘に、マリナ・ハンズその母に、ご存じカトリーヌ・ドヌーヴ、そして祖母役にマリ=ジョゼ・クローズと、それぞれ個性的な女優さんが競演している。

              

 冒頭での母娘の、なにやらざらっとした心理的葛藤のようなものから、いくぶん重いどんよりした状況の連続になるのかなと思っていたら、子供たちを捨てて家を出た祖母の日記が発見される辺りから、その展開にぐいぐいと引き込まれて行くことになる。
 
 地方のプチブルジョワの家父長的で閉鎖的な家庭の中で自立を模索する女性の姿(祖母)、自立をした強い女性でありながら自分の母に捨てられたというトラウマを持つ母、そして自由であるが故に自己をどのように投企して行くかに悩む娘、これら三人のありようが、その映像においては時間の域をしばしば越境しながら進行しする。

     
 
 そして意外な展開となるラスト。
 しかし、それは未見の人のために語らぬのがマナーであろう。
 ただし、その展開によって、この三代がおかれた位相が劇的に変化することだけはいっても許されるだろう。

 そして、私たちが観てきた過程のこの変化をひとことで要約するような洒脱なセリフが放たれ、フェイドアウトして映画が終わる。
 この最後のセリフが実にいい。
 そのおしゃれなピリオドの打ち方には感心した。

 これはまさに、アメリカ映画にも、日本映画にもない、ヨーロッパの映画そのものである。

     

 なお、カメラは海辺の限定された空間にほとんどとどまるのだが、その映像は、全体のドラマの通奏低音のように、実にしっくりしている。

 当初書いたキャストの祖母役と娘役が逆になっていましたので訂正しました。なんというそそっつかしさ。

コメント (4)
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