
前の日曜日、親しいし方たちと、折からこの地の伝統工芸の絞りを中心とした祭りで賑わう有松を訪ねました。
賑やかなお祭りで人で溢れかえっていました。

絞りの実演 小鈴さんも幸子さんも頑張っています
有松をご存知でない方に簡単に説明しますと、ここは東海道五十三次では知立(池鯉鮒)と鳴海のあいだのいわゆる間宿になります。ただし、広重の描いた鳴海宿はこの有松であるともいわれています。
当時から有松絞りは有名で、江戸や京でも知られていました。

この地に一番近いTさんに概略の土地勘を教えてもらい、その後はボランティアのおねぇさんのお世話になりました。一行の中に「わしもガイドをやっている」というオッサンがいてやりにくそうでしたが、それでも人ごみの中で懸命に声を張り上げて説明してくれるのには好感が持てました。

まちなかにこんな素敵な小道が
実はこの街、やってきたのは約半世紀ぶりなのです。
まつりのメインストリートでホコテンになっていた通りが、まだ当時は現役の国道一号線でした。つまり、江戸時代の東海道そのままだったのです。
それでも、周辺の家並みはあまり変わっていませんでした。もちろん、町ぐるみの景観保存の努力の賜物でしょうが、木造の豪華な建築物を維持するというのはとても大変なことなのです。

三層の蔵造り
もう一つ重要な問題があります。伝統の地場産業としてこの街を支えてきた有松絞りの将来です。
土地の人との立ち話では、まず、絞りの技術を継承する人が年々減ってきているとのこと、そして着物そのものが、とりわけ気の遠くなるほどの工程を経て作られる絞りの着物がその価格もあって売れなくなってきているとのことです。
この街が、ただ伝統的な家並みの野外博物館としてのみではなく、その産業そのものが継承されればと願うのですが、先行きは険しいようです。
駅の前の、黒川紀章氏の設計になる銀行の建物が、入り手のないまま空き家になっているのを見ると、少し暗い気持ちにもなりました。

この下に大棚の立派な庭園が
あ、折角の物見遊山が現実的になってしまいました。
街の事情はともあれ、私たちには楽しい一日でした。
こうしてまつりに参加することが、街の活性化の一助であるとは思います。
いろいろ根回しをしてくれたTさんありがとう。一緒に楽しく過ごしたSSコンビさんにもお礼をいいたいと思います。

※エピソード・1
まちなかの祇園寺にはお釈迦様の足跡が石に刻まれています。
45センチあります。一三文キックどころではありません。
その足跡の中に丸い点があったので、これはお釈迦様の魚の目の跡だといったら
Sさんが信じてくれました。
このひと振り込め詐欺にかかったりしないだろうかと少し心配に・・・。

※エピソード・2
上にあげてもらった竹田家で(入り口も世が世ならば大名諸侯しか入れない門から入れていただきました)立派な総絞りの着物が並んでいます。そのひと重ねに5万円とあるのでなんという安さだろうと思ってよく見たら「お仕立て代」とありました。
出来上がったものはおいくらぐらい?と尋ねたところ、200万から300万円とのことで、ちょうど小遣いも余っているところだし、5重ねぐらい買って帰ろうかと思ったのですが、よく考えたらプレゼントする相手がいないのを思い出してやめました。

※エピソード・3
折角来たのに何も買わなくてはと、大枚1.000円をはたいて帽子を買いました。
どこがどう絞ってあるのかよく分からないのですが、これを被ってもっと頭を絞れということではないでしょうか。