六文錢の部屋へようこそ!

心に映りゆくよしなしごと書きとめどころ

【フィクションという名のフィクション】

2012-12-18 03:06:25 | ポエムのようなもの
    

    幻燈機のナイアガラは
    落下しながら吠えたものだ 
      ここに世界がある
      お前のいるところはフィクション
    大陸横断鉄道の驀進は
    身をくねらせて挑発し続けた
      ここに世界がある
      お前のいるところはフィクション

    でも昭和の戦争は終わったばかり
    ほら焼け跡からは煙が燻っている

    居酒屋でうたた寝をするオヤジは
    座敷わらしの淡い嘆きをを夢見る
      世界に呼ばれても出て行けない
      縁側の日溜りにも出て行けない

    ナイアガラに虹がかかるとき
    その弧は大陸横断鉄道の軌跡
      ここに世界がある
      お前のいるところはフィクション

    そのフィクションの縁側辺り
    昭和のネコが大あくびをする
    幻燈機のくすんだ映像が揺れ
    大陸横断鉄道はもはや赤い矢
    ナイアガラヘと垂直に落ちる
 
    オヤジが酔い覚めてしまうと
    座敷わらしは当惑を袖で隠し
    昭和のネコは思わず爪を研ぐ
      世界はどこにある
      フィクションでも構わないのだが

    オイ、誰か別の幻燈機を持って来い!
 

コメント
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