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心に映りゆくよしなしごと書きとめどころ

「奇跡のお酒」と「活け鯒(コチ)」との出会い

2013-07-10 17:39:35 | よしなしごと
    

 実はもう一ヶ月ほど前になりますが、ネットで知り合った大阪の友人を岐阜に迎えたことがありました。時間にすれば数時間の出会いでしたが、彼のマルチな分野での活動に興味があった私にはとても面白い出会いでした。
 私の想像したとおり幅広い守備範囲をもつ人でしたが、ネット上では分からなかったこともあります。彼の居住地域が大阪であることはすでに述べましたが、ネット上では大阪弁で語るわけでもなく、それを感じさせる要因も少なかったのですが、実際に会ってみて、やはり大阪人だなと思ったのでした。

 それは彼が語る大阪弁にもよリますが、そんな表層の事実のみではなく、それはたぶん、彼が示す実に多様なさまざまな分野に対しての貪欲ともいえる好奇心によるものだろうと思います。
 もちろんそうしたマルチな好奇心が、たとえば関東人に欠けているというわけではないのですが、しかし、東京を中心とした人たちは、そうしたマルチな関心のある部分を特化し、「専門家」としての地位を得ている人が多いように思います。
 それに対し、彼はそれらのどれかを引っ込めようとせず、それらを保ち続けているように思いました。
 それはともかく、彼との会話は楽しいものでした。

 話はコロリンと変わるのですが、つい先般、久々に出た市中の鮮魚店で、40センチ近い鯒(コチ)が大きなタライのなかで生きているのを見つけました。その時、私のなかでひらめくものがあったのです。これだ!この機会を待っていたのだ!と。
 値段を聞くと一匹まるまる1,000円でいいという。ちょっと贅沢だがこれならなんとかなります。早速、三枚おろしの冊にしてもらい、もちろんアラも持ち帰りました。

 何がひらめいたかというと、またも話がコロリンと戻るのですが、その大阪の彼が来てくれた際ですが、実に気の利く人で、別便で貴重な日本酒を手配し送ってくれていたのでした。
 それは岡山県倉敷市の菊池酒造という蔵元のいわゆる「奇跡のお酒」というもので、詳細は添付したページを見ていただくとして、ようするに、青森で農薬・除草剤・化学/有機肥料を使用しないで「奇跡のリンゴ」を生み出した木村秋則氏の方法に学んだ、やはり、農薬・除草剤・化学/有機肥料を使用しない自然栽培米のみを使ったお酒のことなのです。
 それを何と、一升瓶と四合瓶の2本も送ってくれたのです。

 しかし、そんな貴重なお酒を日常のお惣菜に合わせたのではもったいなさ過ぎます。ですから、それにふさわしい肴に出会うまで、ちゃんと冷暗所に保管しておいたのです。
 そこで、その鯒をみた途端、そうだこれと合わせるまたとないチャンスだと思い立ったのでした。

 鯒は薄造りほどではないにしても、白身は薄く、赤身は厚く程度の原則で刺身にしました。海無し県の岐阜では、活けゴチなどはめったにお目にかかれませんから大ごちそうです。
 それにアラを持ち帰ったのは大正解でした。
 潮汁風に吸地ぐらいの濃さの出汁であっさり煮たのですがそれが絶品でした。

 さて肝心のお酒の方ですが、一口含むと、いま流行りのサッパリ系とは一味違う濃厚な、といっても決してネットリとした感じではない馥郁さが吟醸香とともに口中に広がります。「うん、これだ!」と、肴とのベストマッチともいうべき取り合わせに満足しながら盃を進めたのでした。
 これぞまさに、「待てば海路の日和あり」です。

 一線をリタイヤーしながら、なお枯れきるでもなく、浮世に執念がある私のような中途半端な老人にとって、ともすれば不快な状況が目につきやすく、嘆いたり愚痴ったりすることも多いのですが、美酒とそれにふさわしい肴に恵まれた瞬間は、それらから離脱できるまさに至福のひとときといえます。

 このひとときをプレゼントしてくれたMJさん、ほんとうにありがとう。
 まだ残っているお酒も大切に頂きます。

 http://www.kikuchishuzo.co.jp/commodity/kisekino_osake.html


 なお、このお酒の元になった木村式リンゴ栽培を描いた映画『奇跡のリンゴ』は、ただ今名古屋、岐阜地区などで上映中です。
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