貧しいながらも二階建ての一軒家に住んでいる。ただし、築半世紀以上を経過しているのでメンテナンスが大変である。
今回は二つの点での補修を余儀なくされた。
ひとつは、激しい台風の場合、一番強く風が吹き付ける東側の板張りの一部が破損欠落し、下塗りの土壁が露呈するなど、全体に劣化が激しいので、この面全体を板金の貼り付けにしようということである。
もうひとつは、一階、二階の瓦を点検した結果、近い将来、雨漏りになりそうな破損箇所が少なからずあるので、それらを補修するということであった。
それぞれ一人の職人さんが数日づつやってきて、8月はじめから10日ぐらいで工事は終わった。
ここに載せたのは、その経過を撮した写真だが、瓦の写真に関しては私が撮したものではない。職人さんが iPad でビフォアー&アフターなど私に示してくれたものである。それをUSB経由で私のPCに取り込んだ。
で、その経費であるが、私の年金の半年分に相当する。とはいえ、私の年金は国民年金プラス・アルファであるから、支払ったのはン十万円である。
もはやなんの収入もない身にとっては、痛いことには間違いないが、しかし、それ以上に感動したことがある。
板金張替え終了
これを書いてる今は列島に前線が居座り、激しい雨が続いているが、職人さんたちが仕事をした日々は、岐阜は連日猛暑日で、少し離れた多治見では、40度超えを記録している。
そんななか、職人さんたちは、照り返しの激しい屋根の上で朝から夕方まできちんと仕事をしたのである。
これには、彼らが熱中症にならないか大いに気を揉んだし、「熱中症に気をつけてね」と声もかけた。
そんな私に、ふたりとも、「熱中症なんかに気をかけていたら夏の仕事はできませんよ」と平然としていた。
夏の平地はともかく、照り返しの激しい屋根の上なんて、私なら10分が限度だろうと思う。
こんな職人さんたちに、本当に敬意を感じる。
そして、業者の営業マンに、ありったけの弁舌を尽くして値切り倒した自分を思わず反省してしまった。
それによって彼らに支払われるべき賃金が縮小されたのではなかろうかと。
とはいえ、年金半年ぶりの支出、私にできることは、仕事を終えた職人さんたちに「ほんとうにありがとうございました」と深々と頭を下げる以外はなかった。
上の写真は修理前 これは修理後
職人さんたちの世界は素晴らしく、また奥深い。彼らの存在によって、どれほど多くのものが支えられていることか。名演奏家のコンサートに酔うのと同様、彼らの職人技と職人魂に感動したのであった。