六〇年ほど前、この地へやってきた折は田んぼの中の一軒家だったのが、次第に市街地化が進み、とりわけここ2,3年のそのスピードは急速で、ついに田んぼが視界から全く消え去ってしまったことはすでに述べてきた。
今となっては、空き地の叢から雉の親子が列をなして現れたり、周辺の田んぼのカエルの大合唱にウシガエルのバスが呼応してやかましくて眠れなかったなんて夢のまた夢だ。
散歩をする箇所もなくなってしまった。田んぼを埋め立てた新興住宅地を歩いてもなんの興も湧かないではないか。
しかし、やはり多少は歩かねばということで先般、午後一で近所の歯科医へいったついでに、自然が残っていそうな箇所を求めてふらふら彷徨ってみた。以下はそこで撮った写真。
矢車草。かつてはポピュラーでどこにでもあったが、園芸対象の花としては少数派か?
山吹も最近はあまり見ない。立派な八重だが、もう終わりかけであった。
残っている畑から。上はえんどう豆、下はそら豆の花。
ダイコンバナ。大根の花ではない。花の形状が似ているから。大根の花は概して白い。
遠目には黄緑にみえる。立派なオオデマリだ。
イチジクの蕾。もっともイチジクの実そのものが花だからこれが大きくなってゆくのみ。
松の雄花。松ぼっくりは雌花の方で、受精した翌年、松ぼっくりになる。
こんな箇所が残っていると嬉しくなる。
これは途中で撮ったなんでもない風景。
散歩のお土産。柿の新芽と法面が残っていたところで採った野蒜。
上の二品は、湯がいてあった筍とともに天ぷらにした。