前回には預言者という語の意味を考えた。
細かい話が続いたが、大筋に戻ろう。
<モーセ後の預言者たち>
モーセは紀元前1500年頃の預言者である。
イスラエル民族には、彼の後にも50年に一人くらいの割合で、周期的に超霊感者が出た。
期間は千百年の長きにわたる。
その間に、エリヤ、イザヤ、ダビデ、ダニエルをはじめ二十人余の人物が出た。
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他の民族ではこういう超霊感者は概して宗教を作って教祖になる。
だがこの民族では彼らは預言者となって、運動会で生徒がバトンリレーするかのように、受けた幻の内容を言葉に書き留めた。
彼らの書物もまた保存され、二十冊以上が旧約聖書に収納された。旧訳は大冊になった。
<モーセには「律法」も>
さて、こうした預言者のなかでも、モーセは特別な大物だった。
彼は天地創造の幻だけでなく、律法(りっぽう)という法文も創造主から与えられている。
律法というのは「創造神が人間に望まれる言動を述べた文章」だ。
これが驚異的に長い。
そこには争いへの対処法(「目には目、歯には歯」など)から、妻のめとり方、離縁の仕方、日常の食物の食べ方、などありとあらゆる命令が細部にわたって記されている。
これらが『出エジプト記』から『レビ記』『民数記』『申命記』のなかに~各々が長大な書物だ~延々と記録されている。
すべてを短い条文に分けて書くと、600から900にもなるという。
今流に言えば超マニアチックというところか。
現代でも教え始めると止まらない人を「教え魔」とかいうが、古代イスラエル民族の預言者は「メモ魔」というか「書き魔」だね。
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蛇足だが、この長文でもって「モーセ五書」の話が「作り話」でないこともわかる。
一人の人間がこんな膨大な情報を考案して書けるはずないのだから。
(続きます)
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