Sightsong

自縄自縛日記

須田一政と石元泰博

2007-06-10 23:25:45 | 写真
説明を要しない両巨匠の写真展を梯子するという贅沢(笑)。
ただ、白黒フィルムの扱いは随分違う。

須田一政の写真展『千代田の松』(6/1-23、PAST RAYS)(→リンク)では、皇居脇の松の箱庭で匍匐前進し、権力、あるいは形骸化しながらなお東京の中心にある装置(ロラン・バルト)、の化物性をあぶり出している。松は接写すると鱗を持つ怪獣のように見える。それがごつごつヌルヌルと変な形をとる様は、安部公房の『デンドロカカリヤ』を思い出させもする。

ギャラリーの方とお話した。まるで芝が雪のようで(2・26?)、靄がかかったような幾つもの作品は、赤外フィルムを使ったものとのこと。また、粒子が目立つプリントなので、表面がざらざらの印画紙はやめ、フォルテの光沢のもの(最近、製造中止になったが・・・)を使っているということだ。いつものように、いくつもの技術を繰り出していて(赤外フィルム、反射望遠レンズ、ブレボケなど)、それがそれぞれに効果を上げている。

やはり期待通り、魑魅魍魎を皇居に出現させた。見る人が見たらどういう感想を抱くのだろう。



それから、田町で石元泰博の写真展『シブヤ、シブヤ』(6/4-30、フォト・ギャラリー・インターナショナル)(→リンク)。

赤城耕一氏のエッセイによると、キヤノンEOS-1Vを腰に構え、ノーファインダーで渋谷の交差点を徘徊していたということ、その成果がこの作品群ということなのだろうか。

ほとんどは、道行く人のTシャツなどの背中を被写体としている。凶悪なもの、全学連、意味のない英語、リキテンスタインなど様々だ。だが、とても心が温まるようなものではない・・・プリントは目に優しい素晴らしいものだったが。一点、女性の背中に撮影者たる石元氏の顔の影がはっきりと写っている。この控えめさと執拗な攻撃、きっと自分の悪意をも淡々と眺めつつ、時にはそれを敢えて発露しつつ、続けたのだろう。

今回の『シブヤ、シブヤ』ではない大判写真のシリーズもあった。渋谷や新宿の建物や交差点待ちの人々を、精細に記録したものだ。35ミリの作品と併せて観ると、本当に眼が悦ぶのがわかる。

駅から遠いが足を運ぶ価値は大いにある。



沖縄の海も山もクニ(日本)のものかッ!!

2007-06-10 00:43:27 | 沖縄
辺野古で直接反対の行動をされている方々の発言があるので参加してきた(2007/6/9)。

沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック主催、イーストステージいけぶくろ。椅子はたぶん200席くらいあったが、立ち見が出たので通路やステージ上で多くの人が体育座り。



実際には、朝から急に、那覇防衛施設局が機器設置を再開するというので、平良夏芽さん、安次富浩さんの両名は辺野古にとどまらざるを得ず、電話を通じての発言となった。

また、急遽、本永貴子さん(なはブロッコリー)がお話をされた。

●5月以降の辺野古の記録映像(『辺野古の闘いの記録』)
海上保安庁の面々に対して、平良夏芽さんが「キャンプシュワブから飛び立った飛行機がイラクの子どもたちの命を奪った」「人の命を守りたいから保安官になったのではないのか」「国は国民の命のことなど考えていない。国のための行動というのは理由にならない」と直接言葉をぶつけているのに動かされた。また、防衛省内部資料が示され、この事前調査の開始が当然のように明記されていることの理不尽さがアピールされた。

●今朝(2007/6/9)からの現地の写真とともに、安次富浩さん、平良夏芽さんの電話を通じた発言
今日の事前調査のための行動はほとんど止めたが、今後も続くことが報告された。自衛隊が住民抑圧・環境破壊・戦争推進に一方的に加担していること、これは新たな「琉球処分」であることがアピールされた。また、ゴムボート購入など活動のためのカンパが必要であること、7月の参議院選挙で比例区枠に山内徳信さん(元、読谷村長)を送り込むことが必要との発言があった。なお、会場でのカンパは26万円以上になったそうだ。

●本永貴子さん(なはブロッコリー)による、やんばるのヘリパッド増設問題に関する報告
現在の北部訓練場でのキャパ(米軍のグリーンベレー)は150人×2週間程度だが、ヘリパッド増設により、1000人×1ヶ月規模にまで増えうるとのこと。高江などの住民にとっては、道端に兵士が突然現れうる(森に境界はない)ので、女性や子どもに特に脅威であること、無灯火のヘリが訓練をしており精神的にも実際も危険であること、また、ここでもヘリパッド増設に関わるアセスが杜撰極まるものだったことが示された。
生活に基づく実態であるため、説得力がある。



●山内徳信さん(元読谷村長、今年参院選に出馬)
本土の「変なヤツ」たちが、ゴーマンに勝手なことを進めていることへの憤りとともに、命こそが大事(命どぅ宝)であり戦争のための基地などは要らないこと、「島ぐるみ」ではなく「国民ぐるみ」「国際ぐるみ」の運動こそが大事だとのアピールがなされた。
実際、東京の集会でも、集まっている人々が「沖縄の人々」であることを前提としているのか?と思わせられたことがある。東京であれどこであれ、この問題意識に共鳴しうる人々の声を拾うためには、まずは閉鎖性があることの意識が必要ではないかと思う(部外者の勝手な言い分だが、部外者の声を集めないといけない)。



●その他、WWFの花輪さんなど何人もの方の発言

花輪さんの、「環境を守ることは、すなわち人権を守ることであり、また平和を守ることだ」との発言に共感を覚えた。



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今号の『週刊金曜日』によると、ジュゴン保護に向けた署名、1432筆が5月28日に那覇防衛施設局に提出されたとのこと(浦島悦子氏報告)。それに対し、施設局は「2014年までに建設するためにできることをやっている」と応対したそうだ。しかし、署名は力を持つに違いない。

→ 『ジュゴンを守るための環境アセスを!』

※2007/6/10 0:40現在、1664名にまで増えている。
今後もたまり次第提出するということだ。
英語だが名前をローマ字で入れて(匿名希望ならAnonymousにチェック)、次のページで必須項目(required)に記入するのみ。名前(または匿名)とメッセージのみ公表される。画像も可。

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NHKスペシャルで沖縄 よみがえる戦場 ~読谷村民2500人が語る地上戦~が放送される。2005年の再放送のようだ(見ていない)。
2007年6月23日(土)午後1時~1時52分 NHKのBSハイビジョン 。
地上戦の様子、「集団自決」の説明など注目したい。本放送から2年も経つと、言葉の使い方や説明に違和感を覚えるかもしれないが。