豊穣な生態系を持つやんばるの森の、沖縄県東村に、米軍のヘリパッド増設が強行されようとしている。
もちろん、近くに住んでいる方々は、グリーンベレーにも、夜間無灯火ヘリの訓練にも、すぐ墜落するヘリ・オスプレイ配備にも、脅かされることになる。環境アセスは形骸化し、事実上無視されている。
●『「癒しの島」から「冷やしの島」へ』より、「ヘリパッド来週着工」
●『やんばる東村 高江の現状』より、「防衛施設局に行ってきました」
この国を見よ、この人を見よ。

玉辻山からやんばるの森を見る、2005年 Minolta Autocord、コダックポートラ400VC
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アンリ・カルティエ=ブレッソンの写真展『De qui s'agit-il?―――彼はいったい何者だ?』(国立近代美術館)を観た。
昨年、大阪の天保山にあるサントリー美術館で観て以来だ。
何度もみているような作品群だが、やはり実際のプリントに触れると嬉しい。
面白いのは、撮影後ほどなく(ほとんどはブレッソン自身によって)プリントされたヴィンテージプリントが、ネガの調子を最適に発揮しようとプリントされたものに比べて、雰囲気が随分異なることだ。これは同じネガからの作品を見比べてみると発見がいろいろあって愉しい。
・「はじめての有給休暇」では、水辺で遊ぶ人々に視線がシフトし、前景の草叢は暗めだ。
・スペインの、窓から顔を見せる警官の写真は、サイズが小さい。随分ピンボケだからかな。
・ロンドンの光景は、随分と靄っている。
自分の好みは、バリのダンサーが準備の時間に見せた表情、メキシコの光と影が交錯するけだるい坂、リヴァプールの廃屋の前を横切る子どもなど、光量の少ないところでのスナップだ。これらの所謂「決定的瞬間」が作られた歩留まりは、どれほどのものだっただろう。できれば、コンタクトプリントを見てみたいものだ。
うつむいたエルンスト、動くジャコメッティ、橋に立つサルトルなんかもとても魅力がある。
バルナックライカで撮られたと思しき時代の写真は、フィルムのパーフォレーションに露光されていたりするのも愛嬌。やっぱり黒いM型ライカを持ったブレッソンは格好いい。ルノワールの『ゲームの規則』に役者として出ていたことは初めて知った。
また時間に余裕を持って観たい。

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息子に買った『ルパン対ホームズ』(ルブラン原作、南洋一郎・文、ポプラ社)を、自分も読んだ。「読みニケーション」のつもりが、懐かしく、わりと面白いのだった。
表紙に書かれた原題に「Herlock Sholmes」(エルロック・ショルメ)とある。シャーロック・ホームズではない。
調べてみると、一度ドイルからクレームがつき、ルブランがアナグラムでパロったものらしい。これが「ホームズ」として訳されているところ、おおらかというか著作権に鈍感というか。(もう百年前の作品だが。)
このルパンとホームズは、闘いの前に、にこやかに乾杯しつつ、心のなかでは燃え上がっている。
「レスラーやボクサーが、すさまじいたたかいの前に、握手するように、怪盗と名探偵は、かたく手をにぎって微笑しあった。
ホームズとルパンは、古くからの親友のように談笑し、おたがいの健康のために乾杯しあい、今後の健闘をいのりあった。が、心のなかでは、負けるものかとすさまじい闘志をもやしていた。」
『ルパン対ホームズ』(ルブラン原作、南洋一郎・文、ポプラ社)
このあたり、江戸川乱歩原作の映画『黒蜥蜴』(深作欣二)において、明智小五郎(木村功)と黒蜥蜴(丸山(美輪)明宏)とが闘いの途中にバーで相対し、「勝つのはこっちさ。」と心の声をハモらせるシーンなどが思い出されて笑えてくる。
確か乱歩の作品にも、ルパンやホームズが出てくるものがあったような記憶がある(もちろんポプラ社版)。『黄金仮面』では、明智とルパンが対決するらしい、覚えていないが。今度、探して再読してみよう。

もちろん、近くに住んでいる方々は、グリーンベレーにも、夜間無灯火ヘリの訓練にも、すぐ墜落するヘリ・オスプレイ配備にも、脅かされることになる。環境アセスは形骸化し、事実上無視されている。
●『「癒しの島」から「冷やしの島」へ』より、「ヘリパッド来週着工」
●『やんばる東村 高江の現状』より、「防衛施設局に行ってきました」
この国を見よ、この人を見よ。

玉辻山からやんばるの森を見る、2005年 Minolta Autocord、コダックポートラ400VC



アンリ・カルティエ=ブレッソンの写真展『De qui s'agit-il?―――彼はいったい何者だ?』(国立近代美術館)を観た。
昨年、大阪の天保山にあるサントリー美術館で観て以来だ。
何度もみているような作品群だが、やはり実際のプリントに触れると嬉しい。
面白いのは、撮影後ほどなく(ほとんどはブレッソン自身によって)プリントされたヴィンテージプリントが、ネガの調子を最適に発揮しようとプリントされたものに比べて、雰囲気が随分異なることだ。これは同じネガからの作品を見比べてみると発見がいろいろあって愉しい。
・「はじめての有給休暇」では、水辺で遊ぶ人々に視線がシフトし、前景の草叢は暗めだ。
・スペインの、窓から顔を見せる警官の写真は、サイズが小さい。随分ピンボケだからかな。
・ロンドンの光景は、随分と靄っている。
自分の好みは、バリのダンサーが準備の時間に見せた表情、メキシコの光と影が交錯するけだるい坂、リヴァプールの廃屋の前を横切る子どもなど、光量の少ないところでのスナップだ。これらの所謂「決定的瞬間」が作られた歩留まりは、どれほどのものだっただろう。できれば、コンタクトプリントを見てみたいものだ。
うつむいたエルンスト、動くジャコメッティ、橋に立つサルトルなんかもとても魅力がある。
バルナックライカで撮られたと思しき時代の写真は、フィルムのパーフォレーションに露光されていたりするのも愛嬌。やっぱり黒いM型ライカを持ったブレッソンは格好いい。ルノワールの『ゲームの規則』に役者として出ていたことは初めて知った。
また時間に余裕を持って観たい。




息子に買った『ルパン対ホームズ』(ルブラン原作、南洋一郎・文、ポプラ社)を、自分も読んだ。「読みニケーション」のつもりが、懐かしく、わりと面白いのだった。
表紙に書かれた原題に「Herlock Sholmes」(エルロック・ショルメ)とある。シャーロック・ホームズではない。
調べてみると、一度ドイルからクレームがつき、ルブランがアナグラムでパロったものらしい。これが「ホームズ」として訳されているところ、おおらかというか著作権に鈍感というか。(もう百年前の作品だが。)
このルパンとホームズは、闘いの前に、にこやかに乾杯しつつ、心のなかでは燃え上がっている。
「レスラーやボクサーが、すさまじいたたかいの前に、握手するように、怪盗と名探偵は、かたく手をにぎって微笑しあった。
ホームズとルパンは、古くからの親友のように談笑し、おたがいの健康のために乾杯しあい、今後の健闘をいのりあった。が、心のなかでは、負けるものかとすさまじい闘志をもやしていた。」
『ルパン対ホームズ』(ルブラン原作、南洋一郎・文、ポプラ社)
このあたり、江戸川乱歩原作の映画『黒蜥蜴』(深作欣二)において、明智小五郎(木村功)と黒蜥蜴(丸山(美輪)明宏)とが闘いの途中にバーで相対し、「勝つのはこっちさ。」と心の声をハモらせるシーンなどが思い出されて笑えてくる。
確か乱歩の作品にも、ルパンやホームズが出てくるものがあったような記憶がある(もちろんポプラ社版)。『黄金仮面』では、明智とルパンが対決するらしい、覚えていないが。今度、探して再読してみよう。
