Sightsong

自縄自縛日記

沖縄「集団自決」問題(11) 『沖縄戦と「集団自決」』

2007-12-17 23:56:54 | 沖縄
『世界』(岩波書店)の増刊号として出た、『沖縄戦と「集団自決」』を読んでいる。

新崎盛暉、山口剛史、高嶋伸欣、村上有慶、目取真俊など多くの発言者の文章がまとまっている。また、台湾、韓国、中国、マレーシアからの発言が異化作用をもたらす。何よりも、証言をはじめた体験者の方々の声があまりにも重い。何事もなければ敢えて人に話すこともなかったであろう、受苦の「肉声」は、赤の他人である自分にとってさえ読み進めるのが辛いほどだ。

ここまでの動きをもたらしたものは、直接的には教科書検定だが、この本質がいまの世界につながっているわけだ。もっともらしい顔で毎日語られている「国際貢献」という名の戦争と市民の「難死」(小田実)、強い者と理屈にのみ依存した判断停止、小さい単位とつながっていない大きな政治、自分のことだけを考える「血塗られた論理」(吉田敏浩)、こんなものをどう考えるかの試金石が、沖縄戦問題にあるのだろう。一見小さな声は、実際には大きな世界そのものに重なるということを、世界と歪んで結び付けられている私たちは、何度も理解しなければならないのだろうと思う。