千葉県知事選の結果にはがっかりだ。・・・と言っても結果が覆るわけではないので、具体的に提示されてこなかった政策がどのようなものになるのか、まずはじろじろ見ていくことにしよう。
先日の講演会会場に、アンソニー・ブラクストンのディスコグラフィ(>> 記事)まで出している愉快な編集者のOさんが、新刊書の宣伝に来られていたので、1冊購入した。
『原発ゴミは「負の遺産」―最終処分場のゆくえ3』(西尾漠・末田一秀編著、創史社、2009年)は、原子力のバックエンドに存在する危うい部分を示す本である。原子力のリスクと言うと、日本の技術からみてもチェルノブイリ(ウクライナ)のような事故は起きっこないという意見や、原子力がなくて日本のエネルギー供給は成り立たないじゃないかという意見が、エネルギー・技術に近い人間の口から出てくることが多い。しかし問題はむしろ、核燃料サイクルが確立できない点にあるのであって、実は社会的にも充分に周知されているとは言えない。誰にとっても他人事ではない問題であるから、どのような評価を下すにしても、知らないよりは知っておいた方が断然いい。
本書の特徴は、リスクそのものよりも、放射性廃棄物の最終処分場の建設候補地が、如何に非民主的に検討され、住民の知らないところで計画が進められているのか、具体例とともに示しているところにある。「カネで頬を叩き、地域社会を狂わせる」あり方は、軍事基地と変わるところはない。地元に経済波及効果があるに違いないという幻想が裏切られることも同様。
●参照
○眼を向けると待ち構えている写真集 『中電さん、さようなら―山口県祝島 原発とたたかう島人の記録』
○『核分裂過程』、六ヶ所村関連の講演(菊川慶子、鎌田慧、鎌仲ひとみ)