上海・莫干山路にある芸術村M50で、蔡玉龍さんの作品を観たついでに、写真ギャラリーの「OFOTO Gallery」も覗いた。去年訪れたとき、クリストファー・テイラーの良い展示を行っていたことが記憶にあった。
今回は、何人もの写真家の作品を展示している。急いでいて余裕がない気持だったにも関わらず、眼がひっかかる作品がいくつもあった。ところで、東京の某写真ギャラリー・写真専門出版社の社長が、中国の写真ギャラリーを観て回り、「観るべきものが皆無」との暴言を吐いていたが、それはいくらなんでも感性に問題があるだろう。北井一夫の写真集など素晴らしいものを出しているだけに、ブログでの発言の固陋さには違和感を感じている。
■ 邵文?(シャオ・ウェンファン) 「不明・・・・・・」
乳剤を塗布したキャンバスに焼き付けた銀塩プリント。明らかに水墨画のような表現であり、隙がない。
■ ?楚(シュ・シュ) 「It's Not It」の連作
箒や容器、よくわからない黒く大きなマッスが画面を支配する。デジタルプリントなのは残念だが、存在感が物凄い。
■ 矯健(ジャオ・ジャン) 「Fill the Void」の連作
土壁の一部に穿たれた穴。どの作品にも、その穴に男が窮屈そうに詰まっている。銀塩プリントはトーンがよく出ている。このユニークな写真家の作品をもっと観たいところ。
■ 田野(ティアン・イェ) 「慢慢的遊走」
草の向こう、川の中で犬が乱暴に走っている。「慢慢的」というより疾走感があり、靄の中で犬を際立たせるセンスが良い。
●上海アート
○上海の莫干山路・M50(上)
○上海の莫干山路・M50(中)
○上海の莫干山路・M50(下)(ツァイ・ユーロン)の「狂草」
○蔡玉龍(ツァイ・ユーロン)の新作「气?/The Activity of Vitality」@上海莫干山路・M50
○蔡玉龍「へちま棚の下で30年」 静かなる過激@上海莫干山路・M50
○陸元敏『上海人』