ドミニク・デュヴァル+ジミー・ハルペリン+ブライアン・ウィルソン『Music of John Coltrane』(NoBusiness、2009年録音)を聴く。
Dominic Duval (b)
Jimmy Halperin (ts)
Brian Wilson (ds)
タイトル通りのジョン・コルトレーン曲集であり、「Giant Steps」、「Moments Notice」、「Syeeda's Song Flute」、「Naima」、「A Love Supreme」といった有名曲が演奏されている。コルトレーン自身のテナーサックスの音色が苦手な自分だが、作曲はもちろん素晴らしいと思う。ここでは、ジミー・ハルペリンというウォーン・マーシュの系譜のプレイヤーが吹いている。
デュヴァルとハルペリンのデュオによるセロニアス・モンク曲集『Monk Dreams』では、奇っ怪なるモンクの曲に対して、デュヴァルは柔軟に、そしてハルペリンは裏返りよれる音色のテナーで向かい合っていた。それは非常に魅力的な組み合わせだったのだが、相手がコルトレーンでは、そこまで伸び縮みはしないようだ。ハルペリンの音色もフレーズも硬く、折角のよじれたリボンのような個性が出ていないような印象がある(片方の演奏だけをもって個性というのもいけないか)。デュヴァルの面白さは相手次第なのか、煌めく結晶のようなセシル・テイラーや、ぐにゃぐにゃのハルペリンであれば有機的なつながりをもった音楽として響く一方、ここでは、硬軟どっちつかずのハルペリンと硬いドラムスのなかで、いまひとつピンとこない。とは言え、何度も聴いてしまう愉しさはある。
●参照
○ドミニク・デュヴァル+セシル・テイラー『The Last Dance』、ドミニク・デュヴァル+ジミー・ハルペリン『Monk Dreams』
○ジョー・マクフィーの映像『列車と河:音楽の旅』(デュヴァル参加)
○藤岡靖洋『コルトレーン』、ジョン・コルトレーン『Ascension』
○ラシッド・アリとテナーサックスとのデュオ(ジョン・コルトレーン『Interstellar Space』)