クーパー・ムーア『The Ceder Box Recordings』(Aum Fidelity、2008年)は、彼のソロ演奏集であり、ほとんど曲ごとに異なる楽器を使っている(しかも、聞いたことがないような・・・)。500枚限定ということだ。
Cooper-Moore (様々な楽器)
冒頭曲では、米国南部の黒人による手作りの一弦楽器・ディドリボー(ダリウス・ジョーンズ『Man'ish Boy』でも使っていた)。次にハープ。ブルースハープではない、あのでかいハープだ。次にアシンバという、本人が作って友人が命名したという、素朴なるマリンバ。次に竹笛。次にトゥワンガーというやはり自作の弦楽器。エレキベースのような感覚ながら、アナログに余計なノイズが入りまくる。
ここでようやくピアノを弾くが、これらの自由空間だらけの楽器による演奏を聴いたあとでは、いかにピアノという楽器がひとつの制約下にある楽器かということを実感する。
間を置くように、何やら作り話。次にマウスボー。口琴ではなく、でかい弓の一端を口でくわえる奇妙奇天烈なものである。そしてバンジョー、パーカッションやらシンセやら。
それにしてもヘンな人だね。ライナーノートには、自分はあらゆる楽器を演奏できるなどと書いているが、大言壮語にも思えない。演奏も、ブルースなどという一言で語ってもいけない。たぶん、このようなヘンな人がいるから世の中は面白い。
●参照
○ダリウス・ジョーンズ『Man'ish Boy』(ピアノとディドリボーを演奏)
○ウィリアム・パーカー『Uncle Joe's Spirit House』(オルガンを演奏)