シンガポール行きの機内で、映画を2本。
■ リドリー・スコット『プロメテウス』(2012年)
考古学者たちが、古代の人類とアクセスしていたと考えられる生命体の存在を求め、ある惑星へと調査に向った。そこでわずかに生き延びていた巨人は、人間の始祖であった。彼らは、自らが作りだした生物兵器に滅ぼされていたのだった。そしてそれは、もともと人間を殲滅せんとして開発されたものであった。
あとあと記憶にこびりついてしまうような気色悪いシーンを含め、まあ凄まじい展開。大画面で観たら忘れられないだろう。
しかし、どこを取ってみても、どこかで観たような場面ばかりだ。リドリー・スコット本人の傑作『エイリアン』『ブレードランナー』のようなパイオニア性はない。なお、『エイリアン』の前日譚であることは、最後まで観ればわかる。
■ ピーター・バーグ『バトルシップ』(2012年)
米海軍を中心とする環太平洋合同演習(RIMPAC)の途中、エイリアンが出現し、米海軍と海上自衛隊が協力して敵を倒すという物語。
これは日米安保・日米同盟万歳といった感じのプロパガンダ映画そのものだ。政治的といえば、米海軍の退役軍人への敬意もあからさまに盛り込んでいたりする。最低、下劣。
『黒部の太陽』がダム工事のプロパガンダ映画として使われ続けたように、これも、どこかで気持ちを高めるために流されるのだろうか。