ジャカルタの旧市街にあるワヤン・パペット博物館を覗いた。
もの凄い勢いで館員が飛び出してきて、案内をしてくれた。日本語がどうも微妙で、英語のほうが断然わかりやすかった。そして最後は売店案内、買わなければチップでも良い、というお決まりのコース。
ワヤンとはインドネシアの人形影芝居であり、展示されているパペットも、棒で手などが動かせる作りになっている。そして、大半が『ラーマーヤナ』や『マハーバーラタ』を題材にしたものらしい。インドから東南アジアなどへの物語伝播とそれによる異本生成を説いた本、金子量重・坂田貞二・鈴木正祟『ラーマーヤナの宇宙』(春秋社)を、もう一度読んでみなければならない。
また、インドネシア独立(ムルデカ)を題材にした影芝居のパペットもあった。近年、ロッテルダム市から返還されたものだという。インドネシアとオランダとの対決、オランダ側についたインドネシア人と独立側のインドネシア人との対立などの場面があった。ムルデカに参加した旧日本軍兵士の姿はなかった。
ハヌマーン
インドネシア人どうしの対立(左側が「裏切ってオランダ側についた」人々)
●参照
○ハヌマーン(1) スリランカの重力
○ガネーシャ(1)
○ガネーシャ(2) ククリット邸にて
○ドーハのイスラム芸術博物館(ムガル帝国時代の『ラーマーヤナ』写本)
○中島岳志『インドの時代』(『ラーマーヤナ』は現代のヒンドゥー・ナショナリズムにつながっている)