森山威男『SMILE』(DENON、1980年)を入手した。「オンデマンド盤」、つまり注文に応じて焼かれたCD-Rである。
森山威男(ds)
国安良夫(①②③⑤ts、④ss)
板橋文夫(p)
望月英明(b)
松風鉱一(①ts、②fl、③as)
ずいぶん初期の森山威男カルテットに、松風鉱一さんが3曲ゲスト参加している。すでにマルチインストルメンタリストぶりを発揮しているのだが、ユニークなソロを聴くことができるのは③の「ステップ」のみ。以前、10年以上もサックスの師匠だっただけに期待して購入したので残念だ。(そう言えば、これが再発されたころにメールで訊くと、知らされていないとのことだった。)
音質は何だかペラペラでいまひとつである。とはいえ、「エクスチェンジ」「わたらせ」「グッドバイ」という、板橋文夫作曲の十八番ばかりを聴くことができるのは嬉しい。何しろ俊敏な斧であるかのような森山威男のタイコであり、大音量であればあるほど動悸動悸する。国安良夫さんのサックスはパンチがないように思ったが、聴いているうちに耳に馴染んできた。
以前から愛聴しているのは、『Live at LOVELY』(DIW、1990年)。10年の月日が流れているが、この間に、何年にもわたる演奏活動の休止と再開がはさまっている。しかし、演奏曲はほとんど同じ「わたらせ」「エクスチェンジ」「グッドバイ」。メンバーもサックス以外は同じ。
森山威男(ds)
板橋文夫(p)
井上淑彦(ts、ss)
望月英明(b)
やっぱり軍配はこっちに上がる。
森山さんの鬼気迫るドラムスは油が乗りきっている。特に、最後の「グッドバイ」において、力技で他の楽器を押しのけるように創り出すクライマックスは何度聴いても素晴らしい。もちろん板橋さんの音が飛び散るようなピアノもいつも通りである。
年末に「グッドバイ」なんか聴くと、いつもライヴで歌っていた浅川マキを思い出す。マキさんが亡くなってから、もう3年が経とうとしている。
●参照
○ペーター・ブロッツマン+佐藤允彦+森山威男『YATAGARASU』
○渋谷毅+森山威男『しーそー』
○若松孝二『天使の恍惚』(森山威男参加)
○板橋文夫『ダンシング東門』、『わたらせ』
○板橋文夫+李政美@どぅたっち
○板橋文夫『うちちゅーめー お月さま』
○中央線ジャズ