ジャック・デリダ『声と現象』(ちくま学芸文庫、原著1967年)を読む。
イデアを絶対知のようなものだとして、ではそれらは絶対的に孤独な体系として、要素として、時制に関係ないものとして現れてくるのか。<私>の死と同義のそれらは、まるで超越論的真理を構成する要素にすぎないように見える<私>が、非イデア的に<私>に向かって呼びかけ、イデア的なものを脅かし、揺り動かし、亀裂を与えることでしか現れえない。それが<私>、生き生きとした生である。
まるで量子論の不確定性原理。
●参照
ジャック・デリダ『動物を追う、ゆえに私は(動物で)ある』(2006年)
ジャック・デリダ『言葉にのって』(1999年)
ジャック・デリダ『アデュー エマニュエル・レヴィナスへ』(1997年)
ジャック・デリダ『死を与える』(1992年)
高橋哲哉『デリダ』(1998年)
ガヤトリ・C・スピヴァク『デリダ論』(1974年)