Sightsong

自縄自縛日記

トゥーツ・シールマンス+エリス・レジーナ『Aquarela do Brazil』

2016-06-06 23:17:35 | 中南米

トゥーツ・シールマンス+エリス・レジーナ『Aquarela do Brazil』(Fontana、1969年)を聴く。

Toots Thielemans (g, harm)
Elis Regina (vo)
Antonio Adolfo (p)
Roberto Menescal (g)
Wilson das Neves (perc)

たまにこんなものを聴くと身体の力を抜くことができて、うっとりもする。エリス・レジーナがちょっと余裕をもって呟くような瞬間もいいし、「哀愁」そのもののトゥーツ・シールマンスのハーモニカも大好きである。最初の「Wave」から気持ちが浮き立ってきて、終わりころの鼻歌のような「Honeysuckle Rose」に至ってニコニコ、そして最後の「Volta」でのレジーナの震える声にはやけに感傷的になってしまう。生きていることも悪くないねと大袈裟に思ってしまうのもふたりの力か。


本多滋世@阿佐ヶ谷天

2016-06-06 07:22:42 | アヴァンギャルド・ジャズ

阿佐ヶ谷の天で、本多滋世さんのフリージャズトリオを観る。

Shigeyo Honda 本多滋世 (ds)
Junji Mori 森順治 (as, fl, bcl)
Yutaka Kaido カイドーユタカ (b)
Hiroshi Kumakiri 熊切寛 (as)

前に本多さんのプレイを観たのはもう3年も前だった。そのときはブラッシュワークがいいなと思っていたのだが、今回、フリーということもあってかパワーアップしていた。リズムの風に加えて、ブラシを激しく叩いてべちべちと異音がするなんて、聴いていて覚醒するようでさらに素晴らしかった。

森順治さんのアルトは、M.A.S.H.のときとは随分また違っていて、メロディーにも惹かれる感覚で、ドラマチックでもあった。これにカイドーユタカさんのイイ音のピチカートが時間を刻んでゆく。さらに後半、アルトの熊切さんが飛び入り参加して、森さんとは対照的なシームレスな音で興奮度を増していった。

滅多に来なかったけれど、阿佐ヶ谷でなければ聴けないものがあるということである。

Fuji X-E2、XF60mmF2.4

●参照
宮野裕司+中牟礼貞則+山崎弘一+本多滋世@小岩フルハウス(2013年)
M.A.S.H.@七針(2016年)
森順治+橋本英樹@Ftarri(2016年)
M.A.S.H.@七針(2015年)


廣木光一+渋谷毅@本八幡Cooljojo

2016-06-06 00:43:29 | アヴァンギャルド・ジャズ

本八幡のCooljojoにて、廣木光一さんと渋谷毅さんとのデュオを観る(2016/6/5)。

Koichi Hiroki 廣木光一 (g)
Takeshi Shibuya 渋谷毅 (p)

ファーストセットは、このふたりのデュオによる名盤『So Quiet』(1998年)の収録曲が中心となり、「He Is Something」、「Gal」という廣木さんのオリジナル、ブルーベックの「The Duke」、ジョビンの「Falando De Amor」、そしてこのアルバムにないオリジナル曲「One For You」。セカンドセットは、まずは「Over The Rainbow」など2曲が廣木さんのソロ、続いてエリントンの「Mighty Like the Blues」やストレイホーンの「Lotus Blossom」など3曲が渋谷さんのソロ、そしてまたデュオに戻り、カルトーラの「人生は風車」、ジョビンの「Luiza」、廣木さんの「Sleeping Jojo」と「Cíclame Branco」、最後にジョビンの「白と黒の肖像」。

それにしても本当に絶妙なコンビだ。渋谷さんの包み込むような、余裕をもってノンシャランとしたテンポのピアノ。それに対して気持ちよく別の音色で並走する廣木さんのギターは、清冽な湧き水のようである。

この空間は音がとても響き、まるで瞑想を誘うような音楽になった。

●参照
Cooljojo Open記念Live~HIT(廣木光一トリオ)(JazzTokyo)(2016年)
廣木光一(HIT)@本八幡cooljojo(2016年)
渋谷毅オーケストラ@新宿ピットイン(2016年)
渋谷毅@裏窓(2016年)
渋谷毅エッセンシャル・エリントン@新宿ピットイン(2015年)
渋谷毅オーケストラ@新宿ピットイン(2014年)
渋谷毅オーケストラ@新宿ピットイン(2011年)
渋谷毅+津上研太@ディスクユニオン(2011年)
渋谷毅+川端民生『蝶々在中』
カーラ・ブレイ+スティーヴ・スワロウ『DUETS』、渋谷毅オーケストラ
渋谷毅のソロピアノ2枚
見上げてごらん夜の星を
浅川マキ+渋谷毅『ちょっと長い関係のブルース』(1985年)