Sightsong

自縄自縛日記

「街の記憶・建物の記憶」@檜画廊

2016-06-11 08:47:52 | 写真

神保町の檜画廊で、「街の記憶・建物の記憶」と題したグループ写真展が開かれている。毎日のように歩くすずらん通りなのに、赤城耕一さんのツイートを読むまで気が付かなかった。

グループ展とは言っても、飯田鉄、中藤毅彦、なぎら健壱とキャラが屹立した人たちの作品である。実に見ごたえがあった。

飯田鉄さんの、ちょっと距離を置いて渋く優しく撮る写真は結構好きで、ここでは、昔の浅草がとらえられている。大きな印画紙の中央部に焼かれた佇まいはとても魅力的。焼き込みも丁寧で素晴らしい。

中藤毅彦さんが印画紙に黒々と焼き付ける風景は、これまでの作品とはまた違う様子で異化された東京。かつて根津にあった曙ハウスはそれ自体が古い医療器具のような不思議な存在感をもって迫ってくる。建て直される前の上野聚楽はまるで底冷えのするヨーロッパだ。まるで灯台のような高輪消防署は、以前に飯田鉄さんもタクマーの標準レンズで撮っていたと記憶しているが、ぜんぜん違うモノのように見える。

なぎら健壱さんの写真群は、やはりというべきか、裏道の飲み屋街に身体から入っていく感覚。北千住の大橋眼科を撮った写真は周辺がぼけまくっているが、これはベス単レンズででもあろうか。

石川栄二さん、森田剛一さんの作品を凝視していると、まるで古い自分の記憶をまさぐられるようで、それは東京ではなく山口の片田舎なのだが、それでもこの感覚は面白いような切ないような。

●参照
飯田鉄『レンズ汎神論』と、『名機の肖像』のライカM型特集
飯田鉄、北井一夫、榎本敏雄、清水哲朗
コムラーの24mm
中藤毅彦『Berlin 1999+2014』
中藤毅彦『STREET RAMBLER』
中藤毅彦『Paris 1996』
中里和人『光ノ気圏』、中藤毅彦『ストリート・ランブラー』、八尋伸、星玄人、瀬戸正人、小松透、安掛正仁
須田一政『凪の片』、『写真のエステ』、牛腸茂雄『こども』、『SAVE THE FILM』
中藤毅彦、森山大道、村上修一と王子直紀のトカラ、金村修、ジョン・ルーリー