Sightsong

自縄自縛日記

『endless 山田正亮の絵画』@東京国立近代美術館

2016-12-08 19:42:00 | アート・映画

病院を抜け出して、竹橋の近代美術館にて、山田正亮の回顧展を観る。

山田正亮といえばストライプである。ところが、それはほとんど1960年代において集中して描かれていたことがわかる。

初期の静物画は、濁った緑や茶が使われ、次第にバランスを意図的にか考慮しない抽象へと変化してゆく。抽象とは言っても、その後のさらなる変貌を予告するような、色のフィールド分割である。デュビュッフェを思わせる混沌の色分割、また矩形の画を経て、ストライプの時代が来る。

「会場ガイド」の文章によれば、二次元のストライプだけでなく、塗り重ねられた深さ方向にもストライプが現れることが特徴なのだという。確かに、実物を凝視すると、深さ方向に視線が行きつ戻りつする動きを感じる。しかし、それだけではない。個々の色を明確に分割しているものも、溶け合っているものもある。濁って汚いほどに色同士が融合しているものもある。深さ方向への動きが感じられず、二次元の移動を主とする作品もある。絵具にマテリアルを混ぜたことによって、逆に表面にのみ意識が絡めとられるものもある。おそらく、これは何年にも渡る狂気とも言える実験だった。

70年代に入り、色が淡くなり、各々の色フィールドが広くなる。画家が自らの色を発見してしまい、実験へと没入できなくなったのではないかと思えた。

●参照
空のストライプと山田正亮


インゲブリグト・ホーケル・フラーテン『Birds』

2016-12-08 09:10:17 | アヴァンギャルド・ジャズ

インゲブリグト・ホーケル・フラーテン『Birds』(Tektite Records、2007-08年)を聴く。

Ingebrigt Haker Flaten (b)

エレクトリックベースによる完全ソロ。

フラーテンはザ・シングでもパワープレイで驚かせてくれたのだったが(ザ・シング@稲毛Candy)、ソロはもう何回りも太く強靭だということがよくわかる。煌びやかな音、道路工事のような音、静かなる音。これをバンドでも躊躇わず披露してくれればいいのに。

最後の曲「Chicago」において、突然哀愁を爆発させて、刺さる。

●インゲブリグト・ホーケル・フラーテン
アイスピック『Amaranth』(2014年)
ザ・シング@稲毛Candy(2013年)
スクール・デイズ『In Our Times』(2001年)


『Vier Tiere』

2016-12-08 07:11:27 | アヴァンギャルド・ジャズ

『Vier Tiere』(clockwise、1994年)を聴く。

Yukikihiro Isso 一噌幸弘 (能管, 田楽笛)
Peter Brotzmann (as, ts, bcl)
Tamio Kawabata 川端民生 (b)
Ryojiro Furusawa 古澤良治郎 (ds) 

これが出た当時、広告を見てずいぶん興味を持っていながら、機会がなかった。

ブロッツマンのことしか気にしていなかったのだけれど(オー・ウムラウトゆえ「ブレッツマン」表記になっていて、それは少なくなかった)、驚いたことに、ベース・川端民生、ドラムス・古澤良治郎。新宿ピットインでのライヴ録音である。ブロッツマンと一噌さんの共演なら新宿ピットインでいちど観た記憶があるが・・・、そうかあったのか。何だかパラレルワールドが重なったという意味で、昔の日米野球のような印象だ。

一噌さんが吹き込む息とともにサウンドが擾乱され、ブロッツマンがひたすらブロウする。録音のせいなのか、あまりハードには聴こえない。それよりも、川端・古澤である。川端さんは伸び上がるようにしてベースを積み重ねてゆき、「あの感じ」のグルーヴを創出する。古澤さんも「あの感じ」。なんと言えばいいのか、「あの感じ」。

●ペーター・ブロッツマン
ブロッツ&サブ@新宿ピットイン(2015年)
ペーター・ブロッツマン+佐藤允彦+森山威男@新宿ピットイン(2014年)
ペーター・ブロッツマン@新宿ピットイン(2011年)
ペーター・ブロッツマンの映像『Concert for Fukushima / Wels 2011』(2011年)
ペーター・ブロッツマンの映像『Soldier of the Road』(2011年)
ペーター・ブロッツマン+佐藤允彦+森山威男『YATAGARASU』(2011年)
ハン・ベニンク『Hazentijd』(2009年)
ペーター・ブロッツマン+フレッド・ホプキンス+ラシッド・アリ『Songlines』(1991年)
エバ・ヤーン『Rising Tones Cross』(1985年)
『BROTZM/FMPのレコードジャケット 1969-1989』
ペーター・ブロッツマン
セシル・テイラーのブラックセイントとソウルノートの5枚組ボックスセット(1979-86年)

●川端民生
渋谷毅+川端民生『蝶々在中』(1998年) 
カーラ・ブレイ+スティーヴ・スワロウ『DUETS』、渋谷毅オーケストラ
浅川マキ『幻の男たち』 1984年の映像(1984年)
浅川マキ『スキャンダル京大西部講堂1982』(1982年)
高橋知己『Another Soil』(1980年)
浅川マキ『ふと、或る夜、生き物みたいに歩いているので、演奏家たちのOKをもらった』(1980年)
オルトフォンのカートリッジに交換した(『ふと、或る夜、生き物みたいに歩いているので、演奏者たちのOKをもらった』、1980年)