MOPDtK (Mostly Other People Do the Killing)のライヴ発掘盤『(live)』(fortune、2012年)を聴く。
Peter Evans (tp)
Jon Irabagon (sax)
Moppa Elliott (b)
Kevin Shea (ds, electronics)
相変わらずの玩具箱である。ピーター・エヴァンスは変な音を出したり、いきなり循環呼吸で吹き続けたり。ケヴィン・シェイのギアは玩具に近いものだが、まるで水を得た魚のようだ。ジョン・イラバゴンはサックスでサックスらしく様々に変化する。誰だ、嘔吐する声を出しているのは、汚ったないなあ。
みんなバカテクで、斜め上の方角に自覚的にひた走っている。これを敢えてジャズ・フォーマットのもとで展開し、空中分解も辞さないながら、ぎりぎりのところで堪えているところが、MOPDtKらしさである。ライヴを観たら、きっと、笑いたいのに素直に笑いが出てこず悶えるに違いない。
それは今も面白いのだけれど、ピーター・エヴァンスが自身のバンドで手段を尽くして行ってきたことも、ジャズという中央集権物語を、深刻でない振る舞いによって解体し、別の形に組み上げてみることではなかったか。また刺激的なのも、MOPDtKよりもエヴァンスの音楽ではなかったか。エヴァンスがMOPDtKを脱退したのはそれと関係があったのだろうか。ジョン・イラバゴンがためらいなくストレートなジャズも手掛けているだけに、その違いが無視できなかったということはないか。
●MOPDtK
MOPDtK『Blue』(2014年)
MOPDtK『The Coimbra Concert』(2010年)
MOPDtK『Forty Fort』(2008-09年)
●ピーター・エヴァンス
Pulverize the Sound@The Stone(2015年)
Rocket Science変形版@The Stone(2015年)
エヴァン・パーカー US Electro-Acoustic Ensemble@The Stone(2015年)
トラヴィス・ラプランテ+ピーター・エヴァンス『Secret Meeting』(2015年)
ブランカート+エヴァンス+ジェンセン+ペック『The Gauntlet of Mehen』(2015年)
エヴァン・パーカー ElectroAcoustic Septet『Seven』(2014年)
MOPDtK『Blue』(2014年)
チャン+エヴァンス+ブランカート+ウォルター『CRYPTOCRYSTALLINE』、『Pulverize the Sound』(2013、15年)
ピーター・エヴァンス『Destiation: Void』(2013年)
『Rocket Science』(2012年)
ピエロ・ビットロ・ボン(Lacus Amoenus)『The Sauna Session』(2012年)
ピーター・エヴァンス+サム・プルータ+ジム・アルティエリ『sum and difference』(2011年)
ピーター・エヴァンス『Ghosts』(2011年)
エヴァン・パーカー+オッキュン・リー+ピーター・エヴァンス『The Bleeding Edge』(2010年)
ピーター・エヴァンス『Live in Lisbon』(2009年)
ウィーゼル・ウォルター+メアリー・ハルヴァーソン+ピーター・エヴァンス『Mechanical Malfunction』(2012年)
MOPDtK『The Coimbra Concert』(2010年)
ウィーゼル・ウォルター+メアリー・ハルヴァーソン+ピーター・エヴァンス『Electric Fruit』(2009年)
MOPDtK『Forty Fort』(2008-09年)
●ジョン・イラバゴン
ジョン・イラバゴン@スーパーデラックス(2015年)
メアリー・ハルヴァーソン『Away With You』(2015年)
ジョン・イラバゴン『Behind the Sky』(2014年)
MOPDtK『Blue』(2014年)
ルディ・ロイストン『303』(2013年)
バリー・アルトシュル『The 3Dom Factor』(2012年)
マイク・プライド『Birthing Days』(2012年)
MOPDtK『The Coimbra Concert』(2010年)
MOPDtK『Forty Fort』(2008-09年)