Sightsong

自縄自縛日記

ミシャ・メンゲルベルク『Driekusman Total Loss』

2019-06-25 22:43:15 | アヴァンギャルド・ジャズ

ミシャ・メンゲルベルク『driekusman total loss』(Vara Jazz、1964・66年)を聴く。一昨日、豊住芳三郎さんとお話していてミシャ・メンゲルベルクの話題が出て思い出した(わたしが豊住さんのプレイをはじめて観てこんな表現があるのかと驚いたのは、90年代後半、世田谷美術館におけるミシャとのデュオだった)。

Misha Mengelberg (p)
Piet Noordijk (as)
Gary Peacock (b)
Rob Langereis (b) (B2)
Han Bennink (ds)

ミシャ・メンゲルベルクの初リーダー作。録音された1964年12月4日は、エリック・ドルフィー『Last Date』が吹き込まれた同年6月2日のおよそ半年後にあたる。もちろん、両方の盤にミシャもハン・ベニンクも参加している。

ここでアルトを吹いているピエト・ヌードワイクはドルフィーとは随分違って、どちらかと言えば直情的で熱く闊達。しかしリードがヌードワイクであろうとドルフィーであろうと、ミシャは独特の翳りが美意識の結晶となったピアノを弾いている。特にA面2曲目の「Nature Boy」なんて、『Last Date』のカケラが見え隠れするようだ。すなわち『Last Date』のサウンドはミシャのものでもあった。

同じことはハン・ベニンクについても言うことができる。まだ20代前半なのに、既に、変にバンドに合わせるというよりもマイペースで叩いているようで少し可笑しい。

ゲイリー・ピーコックは30歳を迎える前であり、アルバート・アイラーの『Ghosts』に参加してから3か月も経っていない。中音域のよく鳴る音は変わらないが、後年の香りはまだない。

B2の吹き込みのみ、1966年6月28日である。この年の4月の演奏でも本盤と同じメンバーにテッド・カーソンが加わって共演している(『Journey Live In Amsterdam 1966』)。

●ミシャ・メンゲルベルグ
ハン・ベニンク『Hazentijd』(2009年)
横井一江『アヴァンギャルド・ジャズ ヨーロッパ・フリーの軌跡』(2011年) 
ICPオーケストラ『Bospaadje Konijnehol』の2枚(1986-91年)
カンパニー『Fictions』(1977年)


ルネ・ボトラング+バール・フィリップス+クリスチャン・レテ『Teatro Museo』

2019-06-25 08:05:21 | アヴァンギャルド・ジャズ

ルネ・ボトラング+バール・フィリップス+クリスチャン・レテ『Teatro Museo』(AJMiseries、2008年)を聴く。

René Bottlang (p)
Barre Phillips (b)
Christian Lété (ds)

バール・フィリップスのコントラバスは響きに深さと芳香との両方が含まれている。弓で弾くときのびりびりとした震えも、孤立感を高める軋みも独特としか言いようがない。

他のふたりははじめて聴いた。ルネ・ボトラングはスイスのヴェテランであり落ち着いて抑制されたピアノを弾いている。

●バール・フィリップス
2018年ベスト(JazzTokyo)(『End to End』)
バール・フィリップス+Bass Ensemble GEN311『Live at Space Who』(2012年)
バール・フィリップス@歌舞伎町ナルシス(2012年)
バール・フィリップスの映像『Live in Vienna』(2006年)
バール・フィリップス+今井和雄『Play'em as They Fall』(1999年)
バール・フィリップス(Barre's Trio)『no pieces』(1992年)