入谷のなってるハウス(2019/7/28)。
Akemi Shoomy Taku 宅Shoomy朱美 (p, vocal, voice)
Manabu Kitada 北田学 (cl, bcl)
Chiho Suzuki 鈴木ちほ (bandoneon)
Naoki Kita 喜多直毅 (vln)
Toru Nishijima 西嶋徹 (b)
シューミーさんが以前からの鈴木ちほ、5月の北田学に続き、ふたたび、喜多直毅、西嶋徹というコワモテの面々を呼び込んだ。怖ろしい予感、行かないわけにはいかない。全員揃うと特撮のオールスター勢揃いみたいだ。
喜多さんが弦を大きく震わせると、ちほさんが蛇腹を震わせ、シューミーさんが内部の弦を震わせた。そのように、いきなり相手との間合いをはかることなく始まった。音価は震えの短さから次第に長い紐になってゆき、また、伸び縮みする弾力を備えてゆき、それらがグルーヴとして成長してきた。そうなると、コントラバスの歩み、速度を得たヴォイス、バスクラのノリ、バンドネオンのテンポ創出、ヴァイオリンの狂いそうな循環、それぞれ異質なものが共存してとても面白い。
鈴木+西嶋+喜多。うたうようなちほさん、ヴァイブレーションを持ち込み続ける喜多さん、それは不穏に展開した。
シューミー+北田。学さんが持ち替えたクラはバスクラに比べて貫通力が強く、その世界の流れにのってピアノとヴォイスもまた流れた。
セカンドセット、シューミー+喜多+西嶋にて「El Ultimo Cafe」、続いてちほさんも入りピアソラの「Obivion」。ここにきて深く哀しいシューミーさんの声が沁みる。バンドネオンのソロがとても良い。コントラバスとヴァイオリンが軋んだ。
シューミー+北田+西嶋にて「Good Morning, Heartache」。シューミーさんのピアノとヴォイスの響きは本当に独特のもので呆然とする。ここにエアを含んだ学さんのクラが自在に入り、西嶋さんのコントラバスがコントラバスらしく、その音の容積の大きさをみせた。
そして再び全員で「So in Love」。しばらくはヴァイオリンが哀しみの震えを発し、続いてシューミーさんと西嶋さんとがデュオの音を創り上げた。あるタイミングで同時にヴァイオリンとクラが加わり、さらに音=感情を厚くするようにバンドネオン。ここで喜多さんの弾いた旋律はエモーショナルな昭和歌謡的であり、山口百恵の「秋桜」を想起させるものだった(と、後で言うと否定された)。ちほさんのソロは、休止して次の旋律を繰り出すときに勇気のようなものを感じさせた。クラのソロも見事。
最後はインプロに戻った。童女のごときスキャット、緩やかに色を変えるヴァイオリン。コントラバスの強いアタック、バンドネオンの起こす風。蛇行してともかくも進むクラ、走るコントラバス。ヴァイオリンはクリップで弦を挟むことで軋み、それに呼応してかクラもまた軋む。そしてピアノが中にするりと入ってくる。
全員の音が自律的でありながら、全員の重なった声もまた聴こえる、不思議な感慨を覚えるセッション。次はどうなるだろう。
Fuji X-E2、XF60mmF2.4
●宅Shoomy朱美
宅Shoomy朱美+北田学+鈴木ちほ@なってるハウス(JazzTokyo)(2019年)
夢Duo@本八幡cooljojo(2019年)
宅Shoomy朱美+辰巳小五郎@阿佐ヶ谷Yellow Vision(2019年)
夢Duo『蝉時雨 Chorus of cicadas』(2017-18年)
原田依幸+宅Shoomy朱美@なってるハウス(2018年)
impro cats・acoustic@なってるハウス(2018年)
●北田学
audace@渋谷Bar Subterraneans(2019年)
宅Shoomy朱美+北田学+鈴木ちほ@なってるハウス(JazzTokyo)(2019年)
ヨアヒム・バーデンホルスト+シセル・ヴェラ・ペテルセン+北田学@渋谷Bar subterraneans(2019年)
晩夏のマタンゴクインテット@渋谷公園通りクラシックス(2017年)
北田学+鈴木ちほ@なってるハウス(2017年)
●鈴木ちほ
宅Shoomy朱美+北田学+鈴木ちほ@なってるハウス(JazzTokyo)(2019年)
アレクサンダー・ホルム、クリス・シールズ、クラウス・ハクスホルムとのセッション@Permian(2019年)
鈴木ちほ+池田陽子(solo solo duo)@高円寺グッドマン(2019年)
種まき種まかせ 第3回ー冬の手ー@OTOOTO(2019年)
種まき種まかせ 第2回ー秋の手-@Ftarri(2018年)
impro cats・acoustic@なってるハウス(2018年)
鈴木ちほ+荻野やすよし(solo solo duo)@高円寺グッドマン(2018年)
鳥の未来のための螺旋の試み@ひかりのうま(2017年)
毒食@阿佐ヶ谷Yellow Vision(2017年)
晩夏のマタンゴクインテット@渋谷公園通りクラシックス(2017年)
北田学+鈴木ちほ@なってるハウス(2017年)
りら@七針(2017年)
齋藤徹+類家心平@sound cafe dzumi(2015年)
●喜多直毅
喜多直毅+元井美智子+フローリアン・ヴァルター@松本弦楽器(2019年)
徹さんとすごす会 -齋藤徹のメメント・モリ-(2019年)
喜多直毅+翠川敬基+角正之@アトリエ第Q藝術(2019年)
熊谷博子『作兵衛さんと日本を掘る』(2018年)
喜多直毅クアルテット「文豪」@公園通りクラシックス(2018年)
ロジャー・ターナー+喜多直毅+齋藤徹@横濱エアジン(2018年)
ファドも計画@in F(2018年)
齋藤徹+喜多直毅@板橋大山教会(2018年)
齋藤徹+喜多直毅+外山明@cooljojo(2018年)
齋藤徹+喜多直毅+皆藤千香子@アトリエ第Q藝術(2018年)
ロジャー・ターナー+喜多直毅+齋藤徹@横濱エアジン(JazzTokyo)(2017年)
翠川敬基+齋藤徹+喜多直毅@in F(2017年)
喜多直毅+マクイーン時田深山@松本弦楽器(2017年)
黒田京子+喜多直毅@中野Sweet Rain(2017年)
齋藤徹+喜多直毅@巣鴨レソノサウンド(2017年)
喜多直毅クアルテット@求道会館(2017年)
ハインツ・ガイザー+ゲリーノ・マッツォーラ+喜多直毅@渋谷公園通りクラシックス(2017年)
喜多直毅クアルテット@幡ヶ谷アスピアホール(JazzTokyo)(2017年)
喜多直毅・西嶋徹デュオ@代々木・松本弦楽器(2017年)
喜多直毅+田中信正『Contigo en La Distancia』(2016年)
喜多直毅 Violin Monologue @代々木・松本弦楽器(2016年)
喜多直毅+黒田京子@雑司が谷エル・チョクロ(2016年)
齋藤徹+かみむら泰一、+喜多直毅、+矢萩竜太郎(JazzTokyo)(2015-16年)
うたをさがして@ギャラリー悠玄(2015年)http://www.jazztokyo.com/best_cd_2015a/best_live_2015_local_06.html(「JazzTokyo」での2015年ベスト)
齋藤徹+喜多直毅+黒田京子@横濱エアジン(2015年)
喜多直毅+黒田京子『愛の讃歌』(2014年)
映像『ユーラシアンエコーズII』(2013年)
ユーラシアンエコーズ第2章(2013年)
寺田町の映像『風が吹いてて光があって』(2011-12年)
『うたをさがして live at Pole Pole za』(2011年)
●西嶋徹
喜多直毅・西嶋徹デュオ@代々木・松本弦楽器(2017年)