Sightsong

自縄自縛日記

細井徳太郎+松丸契@東北沢OTOOTO

2019-12-22 20:59:37 | アヴァンギャルド・ジャズ

東北沢のOTOOTO(2019/12/22)。

Tokutaro Hosoi 細井徳太郎 (g, effect)
Kei Matsumaru 松丸契 (as, effect)

師走の日曜日のお昼ということで、なんとなくリラックスして自由な手合わせを想像してきた。実際にそんなところで、このふたりだからおもしろい場面がたくさんあった。(ところで若い女性客が多いようですがどういうことでしょうか。)

ふたりとも活動を始めるとともにその証拠をばらまき、放置し、やがて残滓の回収を始める。エフェクトの使用は単なるサウンド領域の拡張ではなく、時間軸の遡りでもあり、時間軸への反乱でもあった。松丸さんのマージナルな領域への駆け出しで話はゼロクリアである。そこからサウンドは奇妙な社会を創り出し、ディストピアのように遊び始めた。

セカンドセットは長い切片の重ね合わせ。また先とは異なる音風景が視えてきた。ポルタメント的でもあったからやや朦朧とさせられた。知覚のどこか中間領域にとどめおかれて、いきなり終焉を迎えた。さらにもう一度サウンドを作る。細井さんは先のばらまきと回収ではなく、最初から何かのマッスを見せようとしているように思えた。松丸さんがここで意外にジャズ的なフレーズを吹き続けたのは確信犯だったか。再びいきなり終焉。

Fuji X-E2、7artisans 12mmF2.8、XF60mmF2.4

●細井徳太郎
WaoiL@下北沢Apollo(2019年)
李世揚+瀬尾高志+細井徳太郎+レオナ@神保町試聴室(2019年)
細井徳太郎+君島大空@下北沢Apollo(2019年)
秘密基地@東北沢OTOOTO(2019年)
謝明諺+高橋佑成+細井徳太郎+瀬尾高志@下北沢Apollo(2019年)
WaoiL@下北沢Apollo(2019年)
ヨアヒム・バーデンホルスト+シセル・ヴェラ・ペテルセン+細井徳太郎@下北沢Apollo、+外山明+大上流一@不動前Permian(2019年)
合わせ鏡一枚 with 直江実樹@阿佐ヶ谷Yellow Vision(2019年)
SMTK@下北沢Apollo(2019年)
伊藤匠+細井徳太郎+栗田妙子@吉祥寺Lilt
(2018年)

●松丸契
松丸契『THINKKAISM』(2019年)
纐纈雅代+松丸契+落合康介+林頼我@荻窪ベルベットサン(2019年)
m°Fe-y@中野Sweet Rain(2019年)
SMTK@下北沢Apollo(2019年)


ベースアンサンブル ~ Travessia de Tetsu ~@横濱エアジン

2019-12-22 20:21:17 | アヴァンギャルド・ジャズ

横濱エアジン(2019/12/21)。

Kazuhiro Tanabe 田辺和弘 (b)
Takashi Seo 瀬尾高志 (b)
Masao Tajima 田嶋真佐雄 (b)

齋藤徹さんが2011年から主宰し、1年半ほど続いたコントラバス奏者だけのプロジェクト「ベースアンサンブル弦311」。本来は再演のはずだったが徹さんの急逝により実現しなかった(リハーサルは録音されていない)。このたび中心人物だった3人がふたたび集まった。わたしも、2011年にいちど、それから今年の徹さんのお通夜で観たきりだ(ジャン・サスポータスの素晴らしい踊りは忘れられない)。なお2012年にはバール・フィリップスを迎え、『Live at Space Who』が録音されている。

この日は徹さんの曲が演奏された。街、Tango Eclips 全3楽章、西覚寺~トルコマーチ~Invitation、フリーインプロヴィゼーション、オンバク・ヒタム桜鯛 全3楽章、Travessia。

三者三様の個性をときどき見せてくれるようで、最初から最後まで奇妙に覚醒して聴いていた。瀬尾さんの強面でいて力技で繊細な領域に戻るような感覚。田嶋さんの音も多彩だがまんなかあたりの震えは素晴らしく良い。田嶋さんは喉歌でさらに倍音を付加する。田辺さんの繰り出す音は微妙に横方向の広がりを変え、その中で微妙に軌道を変え、まるで良い声を聴いているようだ。実際に「オンバク・ヒタム桜鯛」での歌唱は深く驚かされるものだった。 

3人の音は横に並び、抜いたり譲ったり休んだり重なったり離れたり跳躍したりする。誰もが太い潮流になり、細い糸になる。全体として大きなうねりを作りもする。「オンバク・ヒタム桜鯛」など魚が水面から飛び跳ね光が乱反射するようでもあった。最後にはなんとも言えないなつかしさが訪れてきた。

●田嶋真佐雄
李世揚+瀬尾高志+かみむら泰一+田嶋真佐雄@下北沢Apollo(2019年)
徹さんとすごす会 -齋藤徹のメメント・モリ-(2019年)

●田辺和弘
徹さんとすごす会 -齋藤徹のメメント・モリ-(2019年)
喜多直毅クアルテット「文豪」@公園通りクラシックス(2018年)
喜多直毅クアルテット@求道会館(2017年)
喜多直毅クアルテット@幡ヶ谷アスピアホール(JazzTokyo)(2017年)

●齋藤徹
徹さんとすごす会 -齋藤徹のメメント・モリ-(2019年)
『Sluggish Waltz スロッギーのワルツ』(JazzTokyo)(2019年)
ジャン・サスポータス+矢萩竜太郎+熊坂路得子@いずるば(齋藤徹さんの不在の在)(2019年)
松本泰子+庄﨑隆志+齋藤徹@横濱エアジン(『Sluggish Waltz - スロッギーのワルツ』DVD発売記念ライヴ)(2019年)
齋藤徹+久田舜一郎@いずるば(2019年)
齋藤徹+沢井一恵@いずるば(JazzTokyo)(2019年)
近藤真左典『ぼくのからだはこういうこと』、矢荻竜太郎+齋藤徹@いずるば(2019年)
2018年ベスト(JazzTokyo)
長沢哲+齋藤徹@ながさき雪の浦手造りハム(2018年)
藤山裕子+レジー・ニコルソン+齋藤徹@横濱エアジン(JazzTokyo)(2018年)
齋藤徹+長沢哲+木村由@アトリエ第Q藝術(2018年)
ロジャー・ターナー+喜多直毅+齋藤徹@横濱エアジン(2018年)
かみむら泰一+齋藤徹@喫茶茶会記(2018年)
永武幹子+齋藤徹@本八幡cooljojo(JazzTokyo)(2018年)
かみむら泰一+齋藤徹@本八幡cooljojo(2018年)
DDKトリオ+齋藤徹@下北沢Apollo(2018年)
川島誠+齋藤徹@バーバー富士(JazzTokyo)(2018年)
齋藤徹+喜多直毅@板橋大山教会(2018年)
齋藤徹+喜多直毅+外山明@cooljojo(2018年)
かみむら泰一+齋藤徹@本八幡cooljojo(2018年)
齋藤徹+喜多直毅+皆藤千香子@アトリエ第Q藝術(2018年)
2017年ベスト(JazzTokyo)
即興パフォーマンス in いずるば 『今 ここ わたし 2017 ドイツ×日本』(2017年)
『小林裕児と森』ライヴペインティング@日本橋三越(2017年)
ロジャー・ターナー+喜多直毅+齋藤徹@横濱エアジン(JazzTokyo)(2017年)
長沢哲+齋藤徹@東北沢OTOOTO(2017年)
翠川敬基+齋藤徹+喜多直毅@in F(2017年)
齋藤徹ワークショップ特別ゲスト編 vol.1 ミシェル・ドネダ+レ・クアン・ニン+佐草夏美@いずるば(2017年)
齋藤徹+喜多直毅@巣鴨レソノサウンド(2017年)
齋藤徹@バーバー富士(2017年)
齋藤徹+今井和雄@稲毛Candy(2017年)
齋藤徹 plays JAZZ@横濱エアジン(JazzTokyo)(2017年)
齋藤徹ワークショップ「寄港」第ゼロ回@いずるば(2017年)
りら@七針(2017年)
広瀬淳二+今井和雄+齋藤徹+ジャック・ディミエール@Ftarri(2016年)
齋藤徹『TRAVESSIA』(2016年)
齋藤徹の世界・還暦記念コントラバスリサイタル@永福町ソノリウム(2016年)
かみむら泰一+齋藤徹@キッド・アイラック・アート・ホール(2016年)
齋藤徹+かみむら泰一、+喜多直毅、+矢萩竜太郎(JazzTokyo)(2015-16年)
齋藤徹・バッハ無伴奏チェロ組曲@横濱エアジン(2016年)
うたをさがして@ギャラリー悠玄(2015年) 
齋藤徹+類家心平@sound cafe dzumi(2015年)
齋藤徹+喜多直毅+黒田京子@横濱エアジン(2015年)
映像『ユーラシアンエコーズII』(2013年)
ユーラシアンエコーズ第2章(2013年)
バール・フィリップス+Bass Ensemble GEN311『Live at Space Who』(2012年)
ミシェル・ドネダ+レ・クアン・ニン+齋藤徹@ポレポレ坐(2011年)
齋藤徹による「bass ensemble "弦" gamma/ut」(2011年)
『うたをさがして live at Pole Pole za』(2011年)
齋藤徹『Contrabass Solo at ORT』(2010年)
齋藤徹+今井和雄『ORBIT ZERO』(2009年)
齋藤徹、2009年5月、東中野(2009年)
ミシェル・ドネダと齋藤徹、ペンタックス43mm(2007年)
齋藤徹+今井和雄+ミシェル・ドネダ『Orbit 1』(2006年)
ローレン・ニュートン+齋藤徹+沢井一恵『Full Moon Over Tokyo』(2005年)
明田川荘之+齋藤徹『LIFE TIME』(2005年)
ミシェル・ドネダ+レ・クアン・ニン+齋藤徹+今井和雄+沢井一恵『Une Chance Pour L'Ombre』(2003年)
往来トリオの2作品、『往来』と『雲は行く』(1999、2000年)
齋藤徹+ミシェル・ドネダ+チョン・チュルギ+坪井紀子+ザイ・クーニン『ペイガン・ヒム』(1999年)
齋藤徹+ミシェル・ドネダ『交感』(1999年)
齋藤徹+沢井一恵『八重山游行』(1996年)
久高島で記録された嘉手苅林昌『沖縄の魂の行方』、池澤夏樹『眠る女』、齋藤徹『パナリ』(1996年)
ミシェル・ドネダ+アラン・ジュール+齋藤徹『M'UOAZ』(1995年)
ユーラシアン・エコーズ、金石出(1993、1994年)
ジョゼフ・ジャーマン 


ジーン・ジャクソン@赤坂Crawfish

2019-12-22 07:47:16 | アヴァンギャルド・ジャズ

赤坂のCrawfish(2019/12/19)。

Gene Jackson (ds)
May Inoue 井上銘 (g)
David Bryant (key, p)
Keisuke Furuki 古木佳祐 (b)

「Electric Yontet」という冗談のようなグループ名だが、それはつまりデイヴィッド・ブライアントがキーボードを弾くからだ。ピアノでのたいへんな存在感を思えば(ヘンリー・スレッギル、スティーヴ・コールマン、デイヴィッド・マレイ)、かれのキーボードも観てみたい。

まずは凝った入り方から「My Favorite Things」、「The Lost Queen」(井上)と続いて、ブライアントのアレンジによる「We Shall Overcome」。いや聴きにきてよかったと思えるソウル満点のキーボードである。そのままハービー・ハンコックの「Actual Proof」でもう全員ノリノリ。

セカンドセットはジーン・ジャクソンのオリジナル2曲に続き、「Amazing Grace」、白金ーゼから取ったという「ガネーゼ」(井上)、そしてふたたびブライアントのアレンジによる「Fall」(ショーター)。ブライアント曰く、ショーターは天才だった。そして過去の曲もよく使った。これは「Autumn Leaves」を変形させたものだ、と(言われないとわからない)。最後にブルース。

ジーン・ジャクソンはハービーについて、「former boss」、「前の社長」と言った。かれのヘヴィ級にして空中で自在に加速減速を繰り返すドラミングを目の当たりにするたびに、それは伊達ではないと思い知らされる。

ブライアントは来年デイヴィッド・マレイのオクテットでピアノを弾く。訊いたところ録音するかもとのこと。

Nikon P7800

●ジーン・ジャクソン
片倉真由子@Body & Soul(2019年)
レイモンド・マクモーリン@六本木Satin Doll(2019年)
ジーン・ジャクソン@御茶ノ水NARU(2019年)
レイモンド・マクモーリン@御茶ノ水NARU(2019年)
レイモンド・マクモーリン『All of A Sudden』(2018年)
ジーン・ジャクソン・トリオ@Body & Soul(2018年)
ジーン・ジャクソン(Trio NuYorx)『Power of Love』(JazzTokyo)(2017年)
オンドジェイ・ストベラチェク『Plays Mostly Standards』(2017年)
オンドジェイ・ストベラチェク『Live in Prague』(2017年)
オンドジェイ・ストベラチェク『Sketches』(2016年)
レイモンド・マクモーリン@Body & Soul(JazzTokyo)(2016年)
及部恭子+クリス・スピード@Body & Soul(2015年)
松本茜『Memories of You』(2015年)
デイヴ・ホランド『Dream of the Elders』(1995年)

●デイヴィッド・ブライアント
レイモンド・マクモーリン@六本木Satin Doll(2019年)
ジーン・ジャクソン@御茶ノ水NARU(2019年)
マリア・グランド『Magdalena』(2018年)
ルイ・ヘイズ@Cotton Club(2017年)
エイブラハム・バートン・カルテットとアフターアワーズ・ジャムセッション@Smalls(2017年)
ルイ・ヘイズ『Serenade for Horace』(-2017年)
マリア・グランド『Tetrawind』(2016年)
レイモンド・マクモーリン@Body & Soul(JazzTokyo)(2016年)
ルイ・ヘイズ@COTTON CLUB(2015年)
レイモンド・マクモーリン『RayMack』、ジョシュ・エヴァンス『Portrait』(2011、12年)

●井上銘
TAMAXILLE『Live at Shinjuku Pit Inn』(2017年)