入谷のなってるハウス(2019/12/13)。
Hiroshi Higo ヒゴヒロシ (DJ)
Yuko Yabe 矢部優子 (p)
プチマノカリス:
Shizuka Yamaga 山我静 (mono synth)
Chiho Suzuki 鈴木ちほ (bandoneon)
Yoko Ikeda 池田陽子 (viola, vln) ← ヴィオラだったかな
この日の企画はヒゴヒロシさんによるもので、国分寺のモルガーナにおいて延々と続けられている「モルガナ実験室」のネットワークによる人選だとのこと。ヒゴさんはベースではなくDJ。ユニット・アノマノカリス(山我静、鈴木ちほ、宮本沙羅)のうちチェロの宮本沙羅さんが欠席、そのかわりに池田陽子さんがゲストで入り、プチマノカリスという名前に。
プチマノカリス。
三者とも短いフラグメンツをその場に提示する。短い音価のひもが各々ぶるぶると震えて、それが互いに干渉して別の音になるインプロ超ひも理論。モノシンセとバンドネオンの蛇腹の震えの相互作用なんかおもしろい。ひもとひもとをつなぐ糊は山我さんのヴォイスでもあった。
次第に音価が長くなり、三者の音の重なりもまた別の様相を呈してくる。ここで耳にぐいと入り込んでくる、硬派で毎回驚かされる池田さんのヴィオラ。そしてまた三者は自由なひもになり、各々遊びに旅立った。
ヒゴヒロシ+矢部優子。
矢部さんがピアノの影で背中を丸め、なにやら奇妙な動物のように鍵盤を鳴らしている。そこに生きていることを隠して、あるいは実際に別次元と行き来したりもして(知らんけど)、しかし次第に動物の存在が露わになってくる。ときに筐体を叩き、重い蓋を閉め、その大きな音が演る者も聴く者も刺激して、さらに存在感を増してくる。飛び出す絵本みたいだ。
ヒゴさんのDJはスムーズに始まったのだが、意外に構成主義的でもあり、ときにサウンドへの干渉を横に置いて斜め上に走り去っていくような瞬間もあり、とてもおもしろい。サスペンスドラマ的なところなんて聴き入ってしまった。
ところで隠れることをやめたピアニストは、先とは対照的な行動に転じている。椅子から立ち上がり、一周しては鍵盤の上に腰かけ音を出し続ける。その繰り返しは悪夢のようではなく、むしろ飛び出す絵本がさらに手作りハイパー三次元の攪乱サウンドになった感覚だった。
そして最後に、ヒゴさんが全員で演ろうと言って、一同慌てて楽器を取りだし、短く短くと呟きながら勢いで共演に突入した。矢部さんが差し出す何かのハコを蹴飛ばす池田さん、これは勢いの賜物。
Fuji X-E2、7Artisans 12mmF2.8、XF60mmF2.4
●ヒゴヒロシ
のなか悟空&人間国宝『@井川てしゃまんく音楽祭』(2016年)
柳川芳命+ヒゴヒロシ+大門力也+坂井啓伸@七針(2015年)
●矢部優子
815展でのパフォーマンス(矢部優子、広瀬淳二、池田陽子、渡辺隆雄、遠藤昭)@好文画廊(2019年)
謝明諺+秋山徹次+池田陽子+矢部優子@Ftarri(2019年)
大墻敦『春画と日本人』(2018年)
●鈴木ちほ
ガトー・リブレ、asinus auris@Ftarri(2019年)
『今・ここ・私。ドイツ×日本 2019/即興パフォーマンス in いずるば』(2019年)
鈴木ちほ+北田学@バーバー富士(2019年)
宅Shoomy朱美+北田学+鈴木ちほ+喜多直毅+西嶋徹@なってるハウス(2019年)
宅Shoomy朱美+北田学+鈴木ちほ@なってるハウス(JazzTokyo)(2019年)
アレクサンダー・ホルム、クリス・シールズ、クラウス・ハクスホルムとのセッション@Permian(2019年)
鈴木ちほ+池田陽子(solo solo duo)@高円寺グッドマン(2019年)
種まき種まかせ 第3回ー冬の手ー@OTOOTO(2019年)
種まき種まかせ 第2回ー秋の手-@Ftarri(2018年)
impro cats・acoustic@なってるハウス(2018年)
鈴木ちほ+荻野やすよし(solo solo duo)@高円寺グッドマン(2018年)
鳥の未来のための螺旋の試み@ひかりのうま(2017年)
毒食@阿佐ヶ谷Yellow Vision(2017年)
晩夏のマタンゴクインテット@渋谷公園通りクラシックス(2017年)
北田学+鈴木ちほ@なってるハウス(2017年)
りら@七針(2017年)
齋藤徹+類家心平@sound cafe dzumi(2015年)
●池田陽子
ガトー・リブレ、asinus auris@Ftarri(2019年)
Signals Down@落合soup(2019年)
815展でのパフォーマンス(矢部優子、広瀬淳二、池田陽子、渡辺隆雄、遠藤昭)@好文画廊(2019年)
Hubble Deep Fields@Ftarri(2019年)
謝明諺+秋山徹次+池田陽子+矢部優子@Ftarri(2019年)
アレクサンダー・ホルム、クリス・シールズ、クラウス・ハクスホルムとのセッション@Permian(2019年)
エレクトロニクスとヴィオラ、ピアノの夕べ@Ftarri(2019年)
鈴木ちほ+池田陽子(solo solo duo)@高円寺グッドマン(2019年)
大墻敦『春画と日本人』(2018年)
池田陽子+山㟁直人+ダレン・ムーア、安藤暁彦@Ftarri(2018年)
森重靖宗+池田陽子+増渕顕史『shade』(2018年)
佐伯美波+池田若菜+池田陽子+杉本拓+ステファン・テュット+マンフレッド・ヴェルダー『Sextet』(2017年)
クリスチャン・コビ+池田若菜+杉本拓+池田陽子『ATTA!』(2017年)