稲毛のCandy、デュオ2デイズの初日(2019/12/7)。
Ken Vandermark (ts, cl)
Paal Nilssen-Love (ds)
ケン・ヴァンダーマークは5年ぶりの来日だが、わたしは2012年に新宿ピットインで観て以来7年ぶりである。対照的にポールさんは頻繁に日本に来ている(ベルギーを含めて、今年観るのは4回目だ)。
はじめにケンさんはテナーを吹き、いきなりの野太く真正面からの音に驚く。席がちょうどドラムセットの真ん前で、バスドラの風が脚を押し戻してくる。2曲目のクラでは、生みの苦しみのようにマージナルな音や擦れる音も吹き、横ではドラムを強く擦っている。そしてフルスロットル。やがてテナーに持ち替えた。
3曲目はテナーで低音を活かしたうなりとマルチフォニック。その間ポールさんはマレットを手にスタンバイしていたのだが、気が変わったのかブラシで入った。ふたたび高みへと登りつめる。先が見えない。ロケットエンジンどうしが互いを踏み台にしてさらに加速するような感覚である。怖ろしい、というか、とんでもなく嬉しい。
セカンドセットはマレットとハットを使ったドラムから始まり、繰り返しのリズムを創り出した。打音は強いというより痛い。そこにケンさんがクラで入り、循環呼吸も使いながら、擦音から重音までじつに幅広く重い音を奔流のように吐き出してくる。演奏の合間に静かな時間が訪れると、おのおのが微かな音を発して緊張を途絶えさせない。微かとはいえポールさんのブラシの付け根による音にはたいへんな力が入っている。短い木の棒からスティックに持ち替え、しなりを付加したのも見事だった。ケンさんがテナーに持ち替えて最初の「バフッ」という音、これだけで歓喜を覚える。あまりにも強いシンバルの連打、その横では踊るようにしてケンさんがぶっとい音をブロウし続けている。聴く方はもう朦朧としている。
アンコール。クラの様々な音を試すケンさん(この段になっても試行するのだ)。ポールさんはでんでん太鼓でプレイする。そしてまたテナーとドラムスでの飛行。
Fuji X-E2、7Artisans 12mmF2.8、XF60mmF2.4
●ケン・ヴァンダーマーク
ネイト・ウーリー+ケン・ヴァンダーマーク『East by Northwest』、『All Directions Home』(2015年)
ポール・ニルセン・ラヴ+ケン・ヴァンダーマーク@新宿ピットイン(2011年)
ペーター・ブロッツマンの映像『Concert for Fukushima / Wels 2011』(2011年)
ペーター・ブロッツマンの映像『Soldier of the Road』(2011年)
4 Corners『Alive in Lisbon』(2007年)
スクール・デイズ『In Our Times』(2001年)
ポール・リットン+ケン・ヴァンダーマーク『English Suites』(1999年)
ジョー・モリス w/ DKVトリオ『deep telling』(1998年)
●ポール・ニルセン・ラヴ
フローデ・イェシュタ@渋谷公園通りクラシックス(2019年)
デイヴィッド・マレイ+ポール・ニルセン・ラヴ+インゲブリグト・ホーケル・フラーテン@オーステンデKAAP(2019年)
Arashi@稲毛Candy(2019年)
ボーンシェイカー『Fake Music』(2017年)
ペーター・ブロッツマン+スティーヴ・スウェル+ポール・ニルセン・ラヴ『Live in Copenhagen』(2016年)
ザ・シング@稲毛Candy(2013年)
ジョー・マクフィー+ポール・ニルセン・ラヴ@稲毛Candy(2013年)
ネナ・チェリー+ザ・シング『The Cherry Thing』とリミックス盤(2012年)
ポール・ニルセン・ラヴ+ケン・ヴァンダーマーク@新宿ピットイン(2011年)
ペーター・ブロッツマン@新宿ピットイン(2011年)
ペーター・ブロッツマンの映像『Concert for Fukushima / Wels 2011』(2011年)
ジョー・マクフィーとポール・ニルセン-ラヴとのデュオ、『明日が今日来た』(2008年)
4 Corners『Alive in Lisbon』(2007年)
ピーター・ヤンソン+ヨナス・カルハマー+ポール・ニルセン・ラヴ『Live at Glenn Miller Cafe vol.1』(2001年)
スクール・デイズ『In Our Times』(2001年)