奥泉光『ビビビ・ビ・バップ』(講談社、2016年)を読む。分厚い本なので電子書籍版は嬉しい。
この作家の小説を読むのは、やはりジャズを大きくフィーチャーした『鳥類学者のファンタジア』(2001年)以来である。主人公のピアニストの雰囲気も似ているなあと思っていたら、実は前作の主人公の曾孫なのだった。しばらく気付かなかった。馬鹿ですね。
いや長いけれどネタ満載で面白い。前作はタイムスリップしてチャーリー・パーカーやマックス・ローチらと共演してしまう場面がクライマックスだった。本作はというと、そのジャズマンたちが近未来にロボットとして登場する(!)。
ネットワーク空間で人が生き延びていくヴィジョンは、グレッグ・イーガン『ディアスポラ』などでの限られた世界かと思っていたら、このように発展していることにも驚いた。しかもそれだけではない。ウイルスが(以下略)。
まあでもヴァーチャル空間の新宿ピットインやアケタの店ではなく、リアル身体で訪れるリアル空間のほうが良いなあ。死ぬまでそんな選択肢はないと思うけれど。