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自縄自縛日記

ジョルジュ・バタイユ『ヒロシマの人々の物語』

2015-04-28 22:11:31 | 中国・四国

ジョルジュ・バタイユ『ヒロシマの人々の物語』(景文館書店、原著1947年)を読む。

本書は、広島への原爆投下間もなく書かれたものである。過去に例をみない大量殺戮兵器を、他ならぬ人間が開発し、それを実際に使ったという前代未聞の事件を受けて、バタイユはどのように考えたか。

深く印象に残ることは、従来のヒューマニズムや善や倫理に対する絶望感である。かれは、そういった<感性>は、どうあっても、<知性>に奴隷的に従属せざるを得ないとした。ここでいう<知性>を狭義の観念ととらえるべきか、むしろ、近代社会・資本主義社会の必然的な帰結というように言い換えたほうがよいかもしれない。この時点にして将来を見通したような慧眼か。

<感性>が<知性>を凌駕するには、すべての条理を捨てなければならない。この<至高>のような考えにはついていけないところがあるが、実は、資本主義に付きまとう<有用性>の激しい否定だととらえれば、やはりわからなくもない。

●参照
マルグリット・デュラス『ヒロシマ・モナムール』
アラン・レネ『ヒロシマ・モナムール』


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