Sightsong

自縄自縛日記

ジョー・マクフィー『Sonic Elements』

2013-10-09 23:30:49 | アヴァンギャルド・ジャズ

ジョー・マクフィー『Sonic Elements』(clean feed、2012年録音)を聴く。

Joe McPhee (pocket tp, as)

サブタイトルに「For pocket trumpet and alto saxophone」とある。その通り、前半はポケット・トランペットでドン・チェリーに、後半はアルトサックスでオーネット・コールマンに捧げた演奏である。しかもソロ。

前半は、最初のあたりは、擦音しか聞こえてこない。タイトルも「Wind」とふるっている。自然児チェリーに寄りそうように、シンプル・アンド・ナチュラルなのであった。やがて、管を鳴らす音。

後半は、オーネットという雰囲気でもなく、沈んだ渋いブルースだ。勿論、オーネットもブルースなのではあるが、それとは違う。今年の1月にはじめてマクフィーのプレイを目の当たりにして、アルトサックスは中高音で鳴らし切ったのに対し、テナーサックスこそが底流の音を発しているとの印象を抱いた。しかし、ここでは、アルトがその役を果たしている。

静かな中でのソロは、たいへんな緊張感をまとっている。聴くほうも息を呑んでしまう。このライヴに立ち会った人は幸せである。

●参照
ジョー・マクフィー+ポール・ニルセン・ラヴ@稲毛Candy
『Tribute to Albert Ayler / Live at the Dynamo』
ウィリアム・パーカー+オルイェミ・トーマス+リサ・ソコロフ+ジョー・マクフィー+ジェフ・シュランガー『Spiritworld』
ジョー・マクフィーの映像『列車と河:音楽の旅』
ジョー・マクフィーとポール・ニルセン・ラヴとのデュオ、『明日が今日来た』


パルサーもどき

2013-10-08 23:31:29 | もろもろ

米国のハミルトンは、70年代に、「Pulsar」というLEDデジタル腕時計を出していた。このブランド自体は、どうやら、1979年にセイコーが取得したようで、輸出用の変わったデザインの腕時計を「Pulsar」名で出し続けている。その中にはデジタルもある。

一方、ブランドを手放した当のハミルトンも、最近、「Pulsomatic」という名前で、現代版「Pulsar」を復刻した。

面白くて調べていると、「Pulsar」もどきの製品を作っている英国の小さなセラーを発見した。まさにこれは、70年代に夢見たであろう近未来のイメージである。しかも値段は、本家ハミルトンの10分の1以下。

夜道を歩いていて、たまに気が向いてボタンを押すと、真っ赤な数字が表示される。これだけ明るければ、交通安全対策になるかもしれない。

パルサーもどきと、ヤンゴンで買ったラピスラズリと、よくわからない透明な石

●参照
アレルギーとフォルティスの手巻き時計


アダム・レーン『Absolute Horizon』

2013-10-08 08:12:53 | アヴァンギャルド・ジャズ

アダム・レーン『Absolute Horizon』(NoBusiness、2010年録音)を聴く。

Adam Lane (b)
Darius Jones (as)
Vijay Anderson (ds)

実は、ダリウス・ジョーンズが吹くピアノレストリオゆえ聴きたくなったのだった。期待に違わず、ジョーンズのアルトサックスはダークな音色で攻めまくり、快感である。

しかしそれよりも耳に飛び込んでくるのはアダム・レーンのベースだ。速弾きで肉食系のサックス、ドラムスと対峙してみせるところなど、まるでカンフーである。ワウも駆使する。

このベーシストは、ケン・ヴァンダーマークやポール・ニルセン-ラヴらと組んだグループ「4 Corners」でのライヴ『Alive in Lisbon』でも、妙な技巧を見せつけていた。面白い存在なのかな。

●参照
ダリウス・ジョーンズ『Man'ish Boy』
4 Corners『Alive in Lisbon』(アダム・レーン参加)


ジョニー・トー(18) 『ドラッグ・ウォー 毒戦』

2013-10-06 22:34:26 | 香港

ジョニー・トー『ドラッグ・ウォー 毒戦』(2013年)を観る。

先日、ジャカルタからシンガポールへのシンガポール航空便で本作を途中まで観て、ヤンゴンまでのシルク航空で続きを観ようと思っていたら、なんと座席前のヴィデオ設備がなかった。シルク航空はシンガポール航空の子会社だから大丈夫だと思いこんでいた。そんなわけで、我慢できずDVDを調達したわけである。

テンミン(ルイス・クー)は、麻薬を運ぶ途中で意識を失い逮捕される。ジャン警部(スン・ホンレイ)を中心とする麻薬捜査チームは、情報を知るテンミンを囮として使い、麻薬密輸団を一網打尽にしようとする。ジャン警部の潜入、トリック、そしてテンミンの裏切り。

最後まで息つく間がない展開は、さすがである。たとえば、麻薬密輸団同士の密会において、ジャン警部が互いの役を2回繰り返し、まんまと騙してしまうという面白さ。

いつもの余裕をもったユーモアは本作には見られないが、それでも、笑ってしまうネタは多い。麻薬運搬トラックを24時間も追跡し続けてきた刑事たちを、ジャン警部が引き継ぐのだが、その途端に慌てて自動車を止めてまろび出てきた刑事たちは、何と立ち小便をするのであった。そりゃそうだ。

ルイス・クーに加え、いつものラム・シューが登場してくると嬉しくなってしまう。スン・ホンレイがジョニー・トー映画に出演するのははじめてかもしれない。どうも習近平に見えてしかたがない。

腕をびしりと伸ばしての銃撃などといった「ひたすらカッコいいシーンだけ」を集めるジョニー・トーにしては、アクションが派手な割にはケレン味が少ない気がするし、料理や食事など余裕たっぷりの場面も入れてほしかったところではあるが、もちろん傑作。2014年1月に日本公開だそうである。

●ジョニー・トー作品
『高海抜の恋』(2012)
『奪命金』(2011)
『アクシデント』(2009)※製作
『冷たい雨に撃て、約束の銃弾を』(2009)
『文雀』(邦題『スリ』)(2008)
『僕は君のために蝶になる』(2008)
『MAD探偵』(2007)
『エグザイル/絆』(2006)
『エレクション 死の報復』(2006)
『エレクション』(2005)
『ブレイキング・ニュース』(2004)
『柔道龍虎房』(2004)
『PTU』(2003)
『ターンレフト・ターンライト』(2003)
『スー・チー in ミスター・パーフェクト』(2003)※製作
『デッドエンド/暗戦リターンズ』(2001)
『フルタイム・キラー』(2001)
『暗戦/デッドエンド』(1999)
『ザ・ミッション 非情の掟』(1999)


カーラ・ブレイ+アンディ・シェパード+スティーヴ・スワロウ『Trios』

2013-10-06 11:37:07 | アヴァンギャルド・ジャズ

カーラ・ブレイ+アンディ・シェパード+スティーヴ・スワロウ『Trios』(ECM、2012年録音)を聴く。

Carla Bley (p)
Andy Sheppard (ts, ss)
Steve Swallow (b)

この盤を聴くことを心待ちにしていた。というのも、1曲目が、渋谷毅オーケストラのレパートリーであり、カーラ・ブレイ+スティーヴ・スワロウ『DUETS』において官能的な名演を聴かせてくれた「Utviklingssang」であるからだ。

さて聴いてみると、少なからず新鮮な驚きを覚えた。綺麗なアクリルパイプでも見るような、透明感のあるアンディ・シェパードのサックスの音色に染まっている。もちろん、個性という点では、カーラ・ブレイもスティーヴ・スワロウもそれ以上のものなのであって、これは快感である。

このアツアツのピアニストとベーシストが変調を自在に繰り返す「Vashkar」も、本作と同じトリオ作『Songs with Legs』に収録された「Chicken」を想起させるように3人がくんずほぐれつの音楽を展開する「Les Trois Lagons (d'apres Henri Matisse)」も素晴らしい。4曲目、5曲目は多彩な雰囲気を散りばめており、聴いていると、意識が鎮まっていく。

スティーヴ・スワロウ『Into the Woodwork』での演奏に続き、カーラ・ブレイ健在。

●参照
カーラ・ブレイ+スティーヴ・スワロウ『DUETS』、渋谷毅オーケストラ
スティーヴ・スワロウ『Into the Woodwork』
ケティル・ビヨルンスタ『La notte』(アンディ・シェパード参加)
キース・ティペット+アンディ・シェパード『66 Shades of Lipstick』、アンディ・シェパード『Trio Libero』
アンディ・シェパード『Movements in Color』、『In Co-Motion』
アンディ・シェパード、2010年2月、パリ


旨いジャカルタ その3

2013-10-05 13:04:48 | 東南アジア

今年になって4回目のインドネシア。

■ Scusa

インターコンチネンタルの2階にあるイタリア料理。そこそこの値段で、かなりいける。


マトンのグリル


クリームソースのタリアテッレ

■ Hoka Hoka Bento

あちこちにある「ほかほか弁当」。日本のほか弁と資本関係があるのかどうか知らないが、こちらの略称は「Hokben」である。

いつもの味で、こういうものに馴染んだ口には嬉しいのであった。


「Bento 4」


「自己送サービス」って何だ

■ Harun Manis

外国人向けのインドネシア料理。店内では生バンドが演奏し、綺麗に整えられている。いつものナシゴレンもミーゴレンも一味工夫してあって旨い。


「ワンメーター・サテ」


イカフライとマンゴーソース


魚の揚げ物

■ 滝川

突然足腰が痛くなり、翌日は胃を猛烈な痛みが襲ってきた。(理由は不明だがウイルスでも入ったのだろう)

そんなわけで、気持ちにも身体にもやさしい日本料理。City Walkの2階にあった。



天ざる

●参照
旨いジャカルタ
旨いジャカルタ その2
カフェ・バタヴィア