ジョー・マクフィー『Sonic Elements』(clean feed、2012年録音)を聴く。
Joe McPhee (pocket tp, as)
サブタイトルに「For pocket trumpet and alto saxophone」とある。その通り、前半はポケット・トランペットでドン・チェリーに、後半はアルトサックスでオーネット・コールマンに捧げた演奏である。しかもソロ。
前半は、最初のあたりは、擦音しか聞こえてこない。タイトルも「Wind」とふるっている。自然児チェリーに寄りそうように、シンプル・アンド・ナチュラルなのであった。やがて、管を鳴らす音。
後半は、オーネットという雰囲気でもなく、沈んだ渋いブルースだ。勿論、オーネットもブルースなのではあるが、それとは違う。今年の1月にはじめてマクフィーのプレイを目の当たりにして、アルトサックスは中高音で鳴らし切ったのに対し、テナーサックスこそが底流の音を発しているとの印象を抱いた。しかし、ここでは、アルトがその役を果たしている。
静かな中でのソロは、たいへんな緊張感をまとっている。聴くほうも息を呑んでしまう。このライヴに立ち会った人は幸せである。
●参照
○ジョー・マクフィー+ポール・ニルセン・ラヴ@稲毛Candy
○『Tribute to Albert Ayler / Live at the Dynamo』
○ウィリアム・パーカー+オルイェミ・トーマス+リサ・ソコロフ+ジョー・マクフィー+ジェフ・シュランガー『Spiritworld』
○ジョー・マクフィーの映像『列車と河:音楽の旅』
○ジョー・マクフィーとポール・ニルセン・ラヴとのデュオ、『明日が今日来た』