日々のつれづれ(5代目)

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カン・ヒョク(檜垣嗣子訳) 「北朝鮮の子供たち」(文春文庫)

2009-01-14 23:08:54 | 本・映画・展覧会
 北朝鮮内部の「真実」について書かれた本は数多くあると思うが、本書の特徴はその「真実」がまだ若い少年によってもたらせれた点にある。内容は北朝鮮での暮らしと、脱北して近隣諸国を転々として南韓(韓国)に住むまで。

 平壌あたり、外国人旅行者でも行ける(ただしガイドという名の見張りつき)「表通り」とは異なる、飢える農村の人々の姿には凄まじいものがある。国中がここと同程度の生活水準なのであれば、アフリカの一部諸国なみの極貧国と言えそうだ(軍人や役人など、一部の人間のみ超えているのも同じか)。

 脱北の苦労もさることながら、韓国で暮らしも確かに物質的には恵まれているものの精神的にはラクではないことが印象的。「北から来た人間」と言うことで差別されるのだ。伝手でもあれば、いっそ別の国で暮らした方が良いのかもしれない。

 本書は少年にインタビューしたものをライターが纏めたものなのだろうか、構成がしっかりしていて、少年が書いたものとは考え難い。が、仮にそうだったとしても本書の内容を貶めるものではなかろう。一方、数点挿入された少年の手によるイラストは極めて精緻、すごく良く雰囲気を感じられる。才能だ!このイラストが本書の価値を数段高めていると言えよう。

 ま、とにかく「表通り」だけでも行ってみないと…ね。

 2008年1月9日 通勤電車車中にて読了
コメント
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