「年越し派遣村」が突如出現し、話題となったのは調べてみたら2008年の年末だった。著者はその「村長」を勤め、以降の社会福祉シーンの「識者」となった感がある。これまでに著者の言動については断片的に見聞きした程度であったため、とりあえず1冊を読んでみることにした。別にそれで著者を英雄視しようとも、奸物と蔑もうとも思わない。
本書はその派遣切りとか対策事業とか、著者が有名人となったできごとについては書かれていない。書かれているのは、最近の社会におけるYes/Noの極論対決だったり、多数決という「民主主義」の難しさであったり、利害関係の衝突する中での落としどころであったり、政治のしくみであったり。
著者はリアリストだなと意外に思った。実際に福祉ボランティアの場をまとめたり、政府の一員となって活動し、理想論だけでものごとは進まない、万人を納得させる政策などないことを厭と言うほど経験したのだろう。なので読んでいて「絵空事」の空虚感がなく、逆に肩透かしを喰わされた感すらあった。理想を芯に持ちつつ現実的な解を求めてゆく難しさの一端が見えたようであった。そして、それを他人任せにしてはいけないと言うことも。
2019年12月30日 アンマン(ヨルダン)のホテルにて読了
本書はその派遣切りとか対策事業とか、著者が有名人となったできごとについては書かれていない。書かれているのは、最近の社会におけるYes/Noの極論対決だったり、多数決という「民主主義」の難しさであったり、利害関係の衝突する中での落としどころであったり、政治のしくみであったり。
著者はリアリストだなと意外に思った。実際に福祉ボランティアの場をまとめたり、政府の一員となって活動し、理想論だけでものごとは進まない、万人を納得させる政策などないことを厭と言うほど経験したのだろう。なので読んでいて「絵空事」の空虚感がなく、逆に肩透かしを喰わされた感すらあった。理想を芯に持ちつつ現実的な解を求めてゆく難しさの一端が見えたようであった。そして、それを他人任せにしてはいけないと言うことも。
2019年12月30日 アンマン(ヨルダン)のホテルにて読了