サハラ砂漠をラクダ一頭と共に横断する前代未聞の偉業に挑戦し、砂漠で力尽きて渇死した22歳の若者の日記。最後に現地からの遺体発見等の報告書(訳)が添えられている。
主人公・上温湯隆が「偉業」に挑戦したのは1974年、今より遥かにアフリカは、サハラは遠かった。そして情報入手も困難であり、種々の装備も今ほど洗練されていなかった。GPSナビゲーションなんて無かった。ひょっとしたら、ヒッチハイクや寝場所の提供など、旅人への親切さだけが現代より当時が上回っていたかもしれないが。「あとがき」によれば、彼の行為は、本書は、当時の若者に多大な影響を与えたと言う。彼に憧れサハラを目指したものもいれば、そこまで行かずとも世界一周など海外放浪に出かけた者が続いたのだろう。「深夜特急ブーム」と同じだ。
しかし思う。若さ故と片付けてしまうには、彼の行動は幼稚に過ぎると。きちんとした地図はなく、ナビゲーション技術も持たず、ラクダの扱い方は十分でない。重い本を何冊も持ち歩く。途中でのいったん後退の際には、きちんと敗因分析をできず「サハラに負けたのではない、資金不足に負けたのだ」と日記に綴る。彼は敗れるべくして敗れた。人によっては更に「親を悲しませた」「現地および日本政府に多大な迷惑を掛けた」と付け加えるだろう。
ひょっとして若い時分であれば、果敢な挑戦と言うポジティブ面だけに目が行き称賛したかもしれない。が、今ではとてもそうは思えない。現代の冒険家・角幡雄介だったらどうしただろう。
2020年12月7日 自宅にて読了
主人公・上温湯隆が「偉業」に挑戦したのは1974年、今より遥かにアフリカは、サハラは遠かった。そして情報入手も困難であり、種々の装備も今ほど洗練されていなかった。GPSナビゲーションなんて無かった。ひょっとしたら、ヒッチハイクや寝場所の提供など、旅人への親切さだけが現代より当時が上回っていたかもしれないが。「あとがき」によれば、彼の行為は、本書は、当時の若者に多大な影響を与えたと言う。彼に憧れサハラを目指したものもいれば、そこまで行かずとも世界一周など海外放浪に出かけた者が続いたのだろう。「深夜特急ブーム」と同じだ。
しかし思う。若さ故と片付けてしまうには、彼の行動は幼稚に過ぎると。きちんとした地図はなく、ナビゲーション技術も持たず、ラクダの扱い方は十分でない。重い本を何冊も持ち歩く。途中でのいったん後退の際には、きちんと敗因分析をできず「サハラに負けたのではない、資金不足に負けたのだ」と日記に綴る。彼は敗れるべくして敗れた。人によっては更に「親を悲しませた」「現地および日本政府に多大な迷惑を掛けた」と付け加えるだろう。
ひょっとして若い時分であれば、果敢な挑戦と言うポジティブ面だけに目が行き称賛したかもしれない。が、今ではとてもそうは思えない。現代の冒険家・角幡雄介だったらどうしただろう。
2020年12月7日 自宅にて読了