日々のつれづれ(5代目)

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【本】荒川 竜著 「レンタルお姉さん」(東洋経済新報社)

2024-08-30 06:00:00 | 本・映画・展覧会

 何やら怪しげな職業に聞こえるではないか。新手の風俗?とんでもない。
 「レンタルお姉さんの仕事は、ニートの若者と交流して、彼らが自宅にひきこもる生活をやめさせること。そして、就学や終了に向けて新たな行動を起こさせることだ。
 それは、手紙、電話、そして訪問という順序で進められる。」(本書P.40)

 こんな厄介な仕事をやる、素晴らしい人たち。本業の合間にボランティア的に従事する人もいるようだ。きっと報酬は多くないだろう。親では扱いきれないけど、でも依頼してくるのだから見捨てているわけではない微妙な関係。

 仕事のスキルとしては、心理学あたりが最も重要視される領域か。とは言え、そのような専門家はいない。対象となる引きこもり者に真摯に向き合い、何度拒絶されても諦めずにアプローチし、ようやくコミュニケーションが取れた後は僅かな表情や身体などからのメッセージも見逃さぬよう注意を払う。

 正直、何を好き好んでこんな大変な仕事をと思う。社会に害悪を撒き散らしてるわけでなし、勝手に引きこもらせておけば良いではないかという考えが頭をよぎりもした。自分は社会の落伍者に、けっこう冷淡だなと改めて認識した。一方で、落伍者が必ずしも落伍者のままと言うわけではないし、落伍者のままで良いと思ってるとは限らない(大抵はこのままじゃダメだと思っている)だろうと言う想像力は確認できた。

 2024年8月13日 自宅にて読了

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