日本に鉄道が敷設されて150余年、当然ながら廃止された路線も少なくない。本書は主に昭和後期、高度成長期以降あたりから今日までに廃止された路線について、その概要と理由を解説している。廃線跡探訪記もないではないが、本書の主題ではない。
廃止理由をモータリゼーションに負けてとか災害のためで片付けるのでなく、なぜ自動車対抗策が打たれなかった(打てなかった)のか、なぜ復旧作業が行われなかったのか、一方で数少ない復旧事例(名松線や只見線)はどこが違ったのか、廃止もしくは休止の法的根拠を踏まえて解説しているのが勉強になる。
本書に紹介された路線のうち、旧国鉄路線(特定地方交通線)については全て乗車経験があり、読みながら訪問時を思い出し懐かしくも寂しくもなった。今後の日本では北海道や中国地方で大規模な路線廃止が行われそうな気配、鉄道による旅客輸送が大都市周辺だけのものになる日が来ないとも限らない。
2024年8月10日 自宅にて読了