黒壁に、沈んだトーンの作品が多かったギャラリー室と対照的な、白壁にカラフルな作品の本展。トータルでコーディネートしたとすれば、ギャラリースタッフのセンス素晴らしい。
普段はモノクロ作品ばかりだと言う「旅しない写真家」の肩書を持つ作者だが、本展作品はカラー、OMシリーズの顕微鏡機能とかいうのを活用して、さまざまな植物の葉脈の写真。確かにタイトル通り「いのちの礎」なのだが、学術資料として以上に評価するのが難しい。まあそれは動物や鳥などでも同じことなのかもしれないけど、生態が見えづらい植物だから標本以上に見ることができないのかもしれない。
「いのちの礎」と葉脈と言うのは作者の個人的事情に繋がっているようだ。国指定難病のため定期的に病院で透析を受けているそうで、その際に使用するシャントと葉脈が、作者の頭の中で繋がったのだろうと推察した。そういう事情があるから「旅しない」ポリシーなのではなく「旅できない」のかもしれない。綺麗な写真の背景について、ちょっと考えさせられてしまった。
2024年8月12日 新宿・OM SYSTEM PLAZA Creative Wallにて