1996年の刊行当時と現在とでは、ホームレスと称される人々の生活・行動様式も、それを見る世間の目も相当に違うと思う。そもそもホームレスと一括りにしても、執筆当時ですら色々なタイプの人々がいた。著者はそのことを理解した上で、どちらかと言えば一般的な概念から外れるタイプのホームレスな人々を取材し執筆対象にしたように見える。
現在の方が当時よりも、進んでホームレスになるよりは止むを得ずなってしまう人の数は増え、そうならざるを得ない状況・環境となっていることは疑いようがないと思う。無職者となった自分もまた、何かのきっかけで一気に貯蓄を失い、こうした生活に至らないとも限らない。生活に「絶対」はないのである。なんだけどそれでも、読んで実感を得られず、共感が湧かない。
著者はつとめて客観的に、ホームレスの人々の正義ばかり描かぬよう意識し苦心しているのは評価に値する。ともすれば行政の怠慢、福祉施策の不備を糾弾するばかりになりそうなところ、抑制が効いている。それでも、一時的であれ準備された都のシェルター施設の紹介のあたりでは、批判的な書きぶりが目立つ。何が正解なのか。そもそも公による「支援」は必要なのか。生活保護もそうだが、支援対象や内容について考え始めるとキリがない。それでも思う。本書に登場する新宿西口地下道からのホームレス排除は、間違いではなかったと。
2023年3月29日 自宅にて読了
現在の方が当時よりも、進んでホームレスになるよりは止むを得ずなってしまう人の数は増え、そうならざるを得ない状況・環境となっていることは疑いようがないと思う。無職者となった自分もまた、何かのきっかけで一気に貯蓄を失い、こうした生活に至らないとも限らない。生活に「絶対」はないのである。なんだけどそれでも、読んで実感を得られず、共感が湧かない。
著者はつとめて客観的に、ホームレスの人々の正義ばかり描かぬよう意識し苦心しているのは評価に値する。ともすれば行政の怠慢、福祉施策の不備を糾弾するばかりになりそうなところ、抑制が効いている。それでも、一時的であれ準備された都のシェルター施設の紹介のあたりでは、批判的な書きぶりが目立つ。何が正解なのか。そもそも公による「支援」は必要なのか。生活保護もそうだが、支援対象や内容について考え始めるとキリがない。それでも思う。本書に登場する新宿西口地下道からのホームレス排除は、間違いではなかったと。
2023年3月29日 自宅にて読了
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