森の案内人 田所清

自然観察「独り言」

カラマツ(マツ科)

2006年08月12日 | 自然観察日記
 山地に紙パルプ用に大量に植林されているいることが多いから馴染みのあるものである。秋に落葉するマツ科の中にあっては珍しい性質なのだが、特に気にならないごく普通の身近な樹木である。
 僕が野生種を見るときは決まって高山で、絵のような強い風に耐えて樹形が変形したものがほとんどである。時たま、亜高山上部に風当たりの弱い場所にすらっとした樹に出くわすが稀だ。自然のカラマツを尊敬する某氏は「テンカラ」と呼んで強い関心を示すが、本来のカラマツの隅かは決して好条件の場所ではないようだ。競争に弱いため棲みにくい高山岩場に追いやられてしまったのだろう。
 人為的作用で好条件の場所に植林されるから、彼らにとっては大喜びで成長し大規模な植林帯が形成されるのであろう。材は軟質だから建材にはならず紙パルプのチップの原料とされる。
 この個体は鳳凰山の観音岳付近にあったものである。
 

ウスタケ(ヒダナシタケ目 ラッパタケ科)

2006年08月12日 | 自然観察日記
 そろそろキノコのシーズンに近づいてきたので、時々はキノコも取り上げよう。もっとも、年中発生するものだからキノコシーズンを秋に限定する必要もないが、人の気がそちらに向きやすいという程度の感覚である。
 先月の鳳凰山の山腹、オオシラビソ林に奇麗な個体があって、絵にするには丁度いいものであった。モミ属との関係が強いキノコとされるウスタケというが、やがてすり鉢状に内側がへこみ名前の通りの雰囲気になる。暗い森の中ではひときわ目立った存在であった。
 このキノコ、毒なのか食用なのか判然としないキノコの一つである図鑑では「食用」と紹介されているが、他のものでは「毒」となっている。私自身まだ生体実験を行ったことが無いが、致命的な「毒」はないと思っている。そういえば、若い頃のキノコを理解するために結構生体実験を行ったものだ。私は何ともないのだが、妻が体調を崩したこともあるから、人によって食・毒が異なるのであろう。最近はそんな無茶なことはしていないからご心配なく。