森の案内人 田所清

自然観察「独り言」

クサギ(クマツヅラ科)

2006年08月19日 | 自然観察日記
 匂いの強い植物をもう一種、クサギ。この時期野山で花盛りである。花それ自身をアップで見ればそれなりの好感をもてるし、秋の実の頃の景色もなかなか味があって捨てがたい。ただ、近づいたときの匂いがいただけない。ヘクソカズラよりましかもしれないとは思うけれど、この匂いも好きになれない。
 花の頃は匂いばかりに気をとられてしまうが、秋紅葉の頃がもっとも好きな時期である。匂いも気にならなくなるし、黒い実が赤い苞に包まれ昔見覚えのある羽付の羽を思い起こさせるころ、再び紹介することにしたい。
 外来種でボタンクサギという種が結構野生化している。園芸用に中国から入ったものといわれるが、やはり匂いは強い。

ヤイトバナ(アカネ科)

2006年08月19日 | 自然観察日記
 別名サオトメバナなどとも言われるが、ヘクソカズラの名のほうが圧倒的に通りがいい。酷い名前だが、確かにいやな匂いが花の可愛らしさを消し去って厄介者扱いされている。性質はつる性で繁殖力が強くいたるところの藪を構成し、草取りの際に引きちぎればその匂いで苛立ちはいっそう強くなる。人を寄せ付けたくないための匂いなのだろうか。傷つけなければ気にならないし、匂いで昆虫が集まってくる様子も無い。食害を防ぐ一つの手段なのであろう。
 ヘクソカズラにはアリが良く来るという。蜜で呼び寄せるのだそうだが、これもアリを使って他の昆虫などの食害を防ぐ方法と考えられるから、全国どこにでもあるこの植物の大繁栄振りの正体がこの辺にあるのだろう。