森の案内人 田所清

自然観察「独り言」

テイカカズラ(キョウチクトウ科)

2006年08月21日 | 自然観察日記
 伊豆大島でのテイカカズラ。百人一首の藤原定家が名前の由来であることは見当が付くのだが、どういう謂れかまだ調べていない。太平洋側ではごく当たり前のつる性の常緑樹。越後にも分布しているがここ長岡近辺では見ないから、私にとっては大変興味をそそられる種である。なかなか魅力的な花である。
 この種も花の時期が6月頃なのだが、たまたま見つけたものは今(8月に)咲いていた。もっとも、もっと状態のいい写真を撮ろうと花を探したが見つからないから、花の最盛期は終わったようだ。それにしてもテッポウユリと同じく大島では開花期が長くなる傾向があるのだろう。
 テイカカズラは気根を出して大木などに張り付いてよじ登る性質がある。しかし、栄養を張り付いた樹から取るというようなことはしない。ただ、上によじ登るためにしがみついているという感じである。螺旋をかけて樹を締め付けるようなこともしないからそれなりに平和主義者ということになるのだろう。

テッポウユリ(ユリ科)

2006年08月21日 | 自然観察日記
 白く大きい横向きのユリはテッポウユリ。伊豆大島にはほぼ野生状態で見られる。民家の庭先にも結構見られるから自生したいたものを持ち込んだものと思っているのだが、もともとの自生地には伊豆諸島は含まれていない。分布域は薩摩や琉球列島となっている。
 となると、伊豆大島のテッポウユリは移植されたものが増えて、更に野生状態にまで増えたことになる。もともと暖かい海岸が好きな種であるから、大島に持ち込まれたあと一気に増えたのだろう。人々の助けもあってもう全く島の住人になりきったようだ。
 ただ、文献によれば南西諸島のテッポウユリの開花期は6月頃となっているが、ここ大島では8月になっても盛りという感じである。この時間差はどう解釈したらいいのだろうか。