MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『恋妻家宮本』

2017-02-06 00:50:07 | goo映画レビュー

原題:『恋妻家宮本』
監督:遊川和彦
脚本:遊川和彦
撮影:浜田毅
出演:阿部寛/天海祐希/菅野美穂/相武紗季/工藤阿須加/早見あかり/奥貫薫/富司純子/柳ゆり菜
2017年/日本

「味気無さ」に味付けする方法について

 主人公の宮本陽平が急に料理教室に通いだす理由は本作では分からないのであるが、重松清の原作『ファミレス』を読めば、デニーズなどのファミリーレストランで提供される料理の「味気無さ」に対抗するべく料理を始めたことがわかるし、冒頭とラストの両方共にファミレスが舞台になっていることも理解できる。
 しかし逆に言うならば夫の陽平が大した理由もなく気まぐれに始めた料理教室通いこそが妻の美代子の最大の不安だったのであり、まさに『暗夜行路』の中に放り出されたようなものだという解釈は本来脚本家としての監督の手腕の見せどころである。
 登場人物がカメラ目線で観客に語りかけてくるところや、頻繁に字幕が使われるところなど映画を観ているというよりもテレビドラマを観ているようであり、あるいは陽平たちが井上克也の実家で料理中に突然帰宅してきた祖母の井上礼子を陽平がなだめて説得するシーンにおいて礼子の気分に合わせて変化する光量の加減もベタで、要するに「斬新」であるはずの演出が上手く機能しておらず個人的には感心しなかったが高齢の観客にはウケていたので興行を考慮するならば仕方がないのかもしれない。
 それにしても早見あかりが「大人」になると天海祐希になるというのは慧眼だと思った。


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