原題:『Doctor Strange』
監督:スコット・デリクソン
脚本:スコット・デリクソン/ジョン・スペイツ/C・ロバート・カージル
撮影:ベン・デイヴィス
出演:ベネディクト・カンバーバッチ/ティルダ・スウィントン/レイチェル・マクアダムス
2016年/アメリカ
「美しき敗者」になる方法について
久しぶりに3Dで観てみたら、映像の奥行きが格段に深くなっていたことに感動してしまったが、ストーリーそのものは寧ろ「定型感」が深まっているように見えた。「ヒーローもの」の普遍のテーマである「永遠の命」に対する是非が問われる本作において、味方だったと思っていた相手が実は敵だったり、敵だったと思われた相手が同じ意見を持っていたりという「定型」は仕方がないのかもしれないが、エンドクレジットが始まってすぐに続編に登場するであろうスティーヴン・ストレンジの、意外でありながら「マーベル・コミック」においてはお馴染みの仲間が現われ、さらにエンドクレジットが完全に終わった後に、スティーヴン・ストレンジの意外な敵が明らかになるのだから、ストーリーが深まるかどうかは続編を観て判断するしかないのだが、同僚のクリスティーン・パーマーがドクターに翻弄される姿は面白かった。ここではとりあえずドクター・ストレンジが言及しただけで本編では流れなかったボブ・シーガ―(Bob Seger)の「美しき旅立ち(Beautiful Loser)」を和訳しておきたい。これが「永遠の命」の是非に対するとりあえずの答えらしいからである。
「Beautiful Loser」 Bob Seger 日本語訳
彼はある老人の見識を兼ね備えた若者のように夢をみたい
彼は憩いの場所と保障が欲しい
彼は海で生きる船乗りのように生きたいんだ
美しき敗者(=勇気ある撤退者)
全てを手に入れることが出来ないことを理解する時
おまえはどこで屈するつもりなのか?
「彼はおまえを一番よく知っている親友だ
もしもおまえが彼を必要とするならば
彼はまたそこに現われる
彼はいつだって喜んで自分よりもおまえを優先してくれる
完璧な間借り人で上顧客」
美しい敗者
壁に書かれているそれを読んで理解しろ
おまえは全てを手に入れることは出来ないんだ
おまえは全てを手に入れることは出来ない
おまえは全てを手に入れることは出来ない
おまえは全てを手に入れることは出来ないんだ
挑戦することならできる
試みることならできるが
おまえは全てを手に入れることは出来ないんだ
彼が敵を作ることはあり得ないし
もしも彼が無視に晒されても
不平不満を口にすることもない
彼はいつでも招くだろう
彼はいつでも「お先にどうぞ」と言うだろう
美しい敗者
全てを得ようとするな
何故ならおまえは屈すれば
もっと気楽で自由になれるのだから
おまえは全てを必要とはしない
おまえは全てを必要とはしない
おまえは全てを必要とするわけではない
全ては必要ではないんだ