MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『スノーデン』

2017-02-09 00:56:47 | goo映画レビュー

原題:『Snowden』
監督:オリヴァー・ストーン
脚本:オリヴァー・ストーン/キーラン・フィッツジェラルド
撮影:アンソニー・ドッド・マントル
出演:ジョゼフ・ゴードン=レヴィット/シャイリーン・ウッドリー/メリッサ・レオ/ニコラス・ケイジ
2016年/アメリカ・ドイツ

情報の「処理」の仕方について

 『未来を花束にして』(サラ・ガヴロン監督 2015年)と同様に本作も評価が難しい。アメリカ国家安全保障局(NSA)の機密情報を「真の自由と民主主義の為に公表した」という名目で暴露したエドワード・スノーデンは、だからと言って引き続き暴露した場所である中国や現在滞在しているロシアに対しても同様の行動を起こしているようには見えず、本作を観た範囲で言うならばアメリカ軍の特殊部隊に配属されるものの訓練中の事故で除隊したり、てんかんの持病を抱えていたりとどうも公益よりも挫折による怨みの方が若干勝っているように見えるのである。
 作品自体にも違和感がある理由は、スノーデンが恋人のリンゼイ・ミルズと日本に滞在している部屋の「襖」が、和室というよりも中華風であり、ラストで世界中にニュースが流れる中で、日本語のナレーションが被さっているニュース番組の映像も中国風なのである。これだけ機密情報が明らかになったという事実を基にした作品において、日本と中国の区別がいまだに付いていないというのは、せっかく得た情報を処理しきれていないというより深刻な問題が取り残されたままなのである。
 それにしてもオバマ大統領の退任後に大統領職に就いた男が、もはや真実などどうでもよく「真の自由と民主主義」に止めを刺そうとしているドナルド・トランプになったことは皮肉としか言いようがない。


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