原題:『The Magnificent Seven』
監督:アントワン・フークア
脚本:ニック・ピゾラット/リチャード・ウェンク
撮影:マウロ・フィオーレ
出演:デンゼル・ワシントン/ピーター・サーズガード/クリス・プラット/ヘイリー・ベネット
2016年/アメリカ
洗練されていく「7人」について
1879年のアメリカ西部のローズ・クリークという街は開拓者たちによってようやく拓けてきた街だったが、近くの鉱山から黄金が発掘されるようになってから悪徳実業家のバーソロミュー・ボーグたちが牛耳るようになり、教会を燃やした後に住民たちに出て行くように強要する。
目の前で夫のマシューを銃殺されたエマ・カレンは復讐を果たすべく用心棒を探している時に出会った者が委任執行官である黒人のサム・チザムだった。サムは意外と簡単に6人の仲間を集めてローズ・クリークに向かう。仲間を集めるまでの過程の描写が荒いという意見は最もだと思うが、南北戦争が終わったばかりの腕利きのアウトローたちは絶えず自分の「死に方」を考えていたのかもしれない。
仕事でボーグが留守だったローズ・クリークには、それでも強者たちがチザムたちを迎え撃つのであるが、何とか7人で保安官を除いて仕留めてしまう。その時に流れるBGMは笙のようなもので、これは原作の『七人の侍』(黒澤明監督 1954年)のオマージュであろう。
ボーグたちが戻ってきた時のクライマックスは観てのお楽しみといったところだが、チザムがエマ・カレンの依頼を引き受けた理由は、自身の委任執行官という公的な立場によるものではなく、12年前に地元のカンザス州で母親と2人の妹を殺したボーグに対する復讐だったのである。本作を観た後だったから『スノーデン』(オリバー・ストーン監督 2016年)に対する評価が厳しくなったことは否定しない。
因みにクエンティン・タランティーノ監督の『ヘイトフル・エイト(The Hateful Eight)』(2015年)のタイトルの由来は本作のタイトル「マグニフィセント・セブン(素晴らしい7人)」をもじって「ヘイトフル・エイト(嫌な8人)」なのである。