MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『未来を花束にして』

2017-02-08 00:16:27 | goo映画レビュー

原題:『Suffragette』
監督:サラ・ガヴロン
脚本:アビ・モーガン
撮影:エド・グラウ
出演:キャリー・マリガン/アンヌ=マリー・ダフ/ヘレナ・ボナム=カーター/ベン・ウィショー
2015年/イギリス

描くことが憚れる劣悪な環境にいる少女たちについて

 邦題は多少の誤解を招くもので、1910年代のイギリスの女性参政権運動は今ではテロリストと見なされても仕方がない「サフラジェット(Suffragette)」と呼ばれる過激派の女性社会政治同盟(WSPU)のメンバーの物語である。因みに「サフラジェット」とは投票や選挙権を意味する「Suffrage」と、得る人を意味する「Getter」の合成語である。
 もちろんテロを容認する訳にはいかないが、個人的に気になったシーンはエメリン・パンクハースト(Emmeline Pankhurst)やエミリー・ワイルディング・デイヴィソン(Emily Wilding Davison)ではなく、1913年のエプソムダービーで起こったエミリーと競走馬との衝突事故の後、主人公のモード・ワッツが同僚のヴァイオレット・ミラーの長女のマギーが働いている同じ洗濯工場から強引に連れ出して裕福なアリス・ホートンの家に連れて行き家政婦として雇わせる場面で、モードはマギーがかつての自分と同じように工場長にセクハラを受けていることを知っていたからである。当時劣悪な環境で働かされていた少女たち全員が受けていたであろう凌辱を描くことは余りにも酷であり、仄めかすだけにとどめたのであろう。自分はともかく自分の娘たち世代を守るために行なったテロ行為をどのように捉えればいいのか正直分からない。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする