原題:『Tremors』
監督:ロン・アンダーウッド
脚本:ブレント・マドック/S・S・ウィルソン
撮影:アレクサンダー・グルツィンスキー
出演:ケヴィン・ベーコン/フレッド・ウォード/フィン・カーター/マイケル・グロス
1990年/アメリカ
巧妙過ぎる怪獣の倒し方について
改めて本作を観てもチープな怪獣映画にしか見えないのであるが、「トレマーズ」はその後映画の続編やテレビシリーズとして大ヒットしていることに驚く。ここではラストのオチについて解説しておきたい。
最後に残った地底怪獣「グラボイド」を目の前にしてバレンタイン・マッキー、アール・バセット、ロンダ・レベックはその場を動けずにいた。そこでバレンタインは突然走り出して、アールとロンダが後についていくと、グラボイドも3人を地面の下から追いかける。崖まで走っていくとバレンタインは残っていたダイナマイトの導線を短く切って、ロンダが持っていたライターで火をつけるとグラボイドの方に向けて投げる。
ところがダイナマイトはグラボイドが通過した後で爆破し、グラボイドはさらに速度を上げて3人に向かってくる。そこでバレンタインはギリギリまで粘ってグラボイドに襲われる直前に身をかわすとグラボイドは岩壁を突き破って崖から落ちて絶命するのである。
訝しる2人に対してバレンタインは日本語字幕では「大暴走」が思い浮かんだと答えるのであるが、正確にはバレンタインは「Stampede」と言っており、これはアメリカ西部の方言で「ロデオ」という意味である。つまりバレンタインはカウボーイとして少しずつ知性を備えるようになったグラボイドを荒馬のように扱い、お互いの心理戦においてグラボイドは音がする反対側に3人がいると察することを計算した上でダイナマイトをグラボイドの背後で爆発させたのであるが、あまりにも高尚なバレンタインの計略はグラボイドどころか観客にも上手く理解されていないようである。