MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『キング・オブ・シーヴズ』

2021-03-03 00:52:20 | goo映画レビュー

原題:『King of Thieves』
監督:ジェームズ・マシュー
脚本:ジョー・ペンホール
撮影:ダニー・コーエン
出演:マイケル・ケイン/ジム・ブロードベント/トム・コートネイ/チャーリー・コックス/ポール・ホワイトハウス
2018年/イギリス

「老人力」の限界について

 2015年にイギリスのロンドンのハットンガーデン貴重品保管所で実際に起こった窃盗事件を基にした作品である。
 発端は窃盗団のリーダーであるブライアン・リーダーの妻のリンの葬儀にかつての仲間たちが集合し、ジョン・ケニー・コリンズが持ちかけてきた宝石強盗の話で、その話をたまたま耳にしたバジルが、ハットンガーデンにある宝石店の鍵を持っているとブライアンに告白したことから話が進みだす。
 ところが久しぶりに一緒に仕事を始めると、仲間たちの「老化」にブライアンは驚く。例えば、いつの間にかケニーがビリー・リンカーンを仲間に加えており、かつてのように結束力も無い上に、ブライアンたちはインターネットの存在に全く無頓着で、彼らの情報はダダ洩れなのである。
 おそらく76歳ながらもっとも聡明なブライアンはこの計画が上手くいかないことは分かっていたはずで、だから宝石の見分け方や特別な金庫の存在をバジルに教え、さらに早めの逃走も指南したのであろう。
 結果的に、この事件は敢えて失敗させたことで、妻を亡くして失うものも無くなったブライアンが仲間たちを道連れに仕掛けた「償い」のように見えるのである。


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